日本統治時代の作家、頼和の新全集 約20年ぶりの“決定版”/台湾

【社会】 2021/05/27 17:43 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
国立台湾文学館によって刊行された新編頼和全集=同館提供

国立台湾文学館によって刊行された新編頼和全集=同館提供

(台北中央社)日本統治時代に活躍した作家、頼和(1894~1943年)の作品を集めた全集を、約20年ぶりに新たな資料や解説を加えて編さんした「新編頼和全集」全5巻が、国立台湾文学館(台南市)によって刊行された。同館は1970年代から2000年までに刊行された各全集の決定版と位置付けており、頼の誕生日である28日には、生誕127年記念を兼ねた発表会が行われる。

頼和は1894(明治27)年5月28日生まれ。中部・彰化の出身で、16歳で台湾総督府医学校(現・台湾大学医学部)に入学。幼少期から漢文学などに親しんでいた頼は卒業後、医師として働く傍ら執筆活動を行い、1920年代からは新文学運動を推進して「台湾新文学の父」と呼ばれた。25(大正14)年には、台湾で初めて言文一致体を用いた散文を発表している。作品には、当時の植民地社会をさまざまな切り口から捉え、庶民の苦痛や社会の矛盾などを代弁したものが多い。

5巻はそれぞれ、漢詩、小説、現代詩、散文、資料索引。同館によれば、日本統治時代の刊行物に掲載された文章や漢詩など、新たに発見された作品の数々も収録し、注釈や解説を付け直したほか、過去確認できなかった誤植などにも修正が加えられているという。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、来月14日まで休館となっている同館。発表会の模様は、同館の公式フェイスブックを通じて今月28日午前10時から配信される。このほか、頼の郷里にある「頼和記念館」をオンライン参観できる特設ページ(https://nmtl.daoyidh.com/zh-tw/main/litvr?title=CARDlh )も開設されている。

(邱祖胤/編集:塚越西穂)