処理水の海洋放出に対応 農業委、台湾周辺海域のモニタリング強化へ

【社会】 2021/04/15 12:03 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
農業委員会の陳吉仲主任委員

農業委員会の陳吉仲主任委員

(台北中央社)日本政府が東京電力福島第1原子力発電所にたまり続ける処理水の海洋放出を決めたのを受け、行政院(内閣)農業委員会の陳吉仲(ちんきちちゅう)主任委員(閣僚)は14日、台湾周辺海域の漁場での環境モニタリングを強化する方針を示した。魚類のサンプル検査の件数を2倍以上に増やすほか、海水のモニタリング地点を約3倍にする。陳氏は、農業委の目標は国民の食の安全と漁業従事者の権益を保障することだと述べた。

農業委漁業署の統計によれば、昨年は魚類計208件に対して放射性物質の検査を行った。内訳は台湾近海で捕獲された回遊性魚類158件、北西太平洋で漁獲されたサンマ50件。陳氏によれば、今後はサンプル検査の件数を500件に増やす。

海水サンプルの検査については、モニタリング地点を現行の20カ所から62カ所に増やすほか、検体採取の時期を夏と冬のみから春夏秋冬に増加させる。また、浮遊生物や仔魚、稚魚も検査する。

張致盛漁業署長によれば、同署は2011年から回遊性魚類とサンマに対してセシウム134とセシウム137の検査を実施。今年3月末までに計2212件を検査した結果、いずれも合格だったという。

陳氏は、日本政府が処理水を海洋放出するのは2年後のことであり、どのような影響が出るかについては現時点では科学的根拠がないと説明。日本が放射性物質のトリチウムを含んだ処理水を海洋放出した後に台湾の漁業への影響を示す具体的な科学的根拠が出た場合、日本政府に賠償を求める考えを示した。

(呉欣紜/編集:名切千絵)