台湾産果物輸出に課題 長期的計画が不可欠=謝駐日代表が呼び掛け

【社会】 2021/03/09 18:09 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
謝長廷駐日代表

謝長廷駐日代表

(東京、台北中央社)中国が台湾からのパイナップルの輸入を一時停止したのを受け、日本では台湾産パイナップルを購入しようとする動きが広まっている。台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表(大使に相当)は8日、台湾の果物生産には構造的な問題があると指摘し、海外輸出において競争力を持つためには長期的な計画が必要だとの見解を示した。在日台湾メディアとの懇談会で述べた。

中国が害虫検出を理由に台湾からのパイナップル輸入を停止すると発表して以降、台湾には日本からの注文が相次いだ。昨年の日本向け輸出量が約2100トンだったのに対し、今年はこれまでに日本から6200トンを受注した。

謝氏は、台湾のパイナップルやバナナの生産における問題は、小規模農家が多く、安定的供給が難しい点だと指摘。台湾のパイナップルが3月から6月にかけて収穫されることに触れ、現在交渉しているのは全て予約注文分だとし、注文過多によって供給が間に合わなくなることに懸念を示した。

さらに、中国が来年、輸入を再開し、日本からも注文が入れば、台湾産パイナップルが足りなくなる恐れがあるとし、そうなれば信頼性に影響が出るとの見方を示した。

謝氏は台湾産パイナップルが海外市場で競争力を持つためには、付加価値を高めることが必要だと話す。糖度が高く、芯まで食べられるという特徴を持つ台湾産パイナップルをスティック状に切って冷凍して売り出せば、他の商品との競争に必ず勝つだろうと言及し。台湾は、付加価値を高めてフィリピン産とのすみ分けを図るという路線を長期的に歩むべきだと述べた。

▽パイナップルの日本輸出に価格競争 農業委、値下げ停止を呼び掛け

パイナップルの対日輸出を巡り、価格競争が生じている状況も明らかになった。中央社の取材に応じた貿易業者によれば、日本向けに輸出されるパイナップルの通常の出荷価格は1箱10キロで290台湾元(約1110 円)。300元(約1150元)以上になることもある。だが、最近では出荷価格が200元(約768円)まで落ち込んでいるという。出荷にかかる経費を除くと、手元に残るのは130元(約500円)、実質的には1キロ13元(約50円)となる。行政院(内閣)農業委員会は直近2年の平均出荷価格である同21元(約81円)の維持を目指している。

農業委員会の林家栄国際処長は5日、価格競争をやめるよう同業者団体を通じて各業者に通知した。値下げをやめない場合は、輸出奨励金の支給を行わない方針を示した。日本向けの輸出には1キロにつき12元(約46円)の奨励金が輸出業者に支払われる。

(楊明珠、楊淑閔/編集:名切千絵)