台湾人作家・李琴峰さん、芸術選奨新人賞受賞 「心から嬉しく思う」

【社会】 2021/03/04 13:35 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
李琴峰さん=大坪尚人撮影、李琴峰提供

李琴峰さん=大坪尚人撮影、李琴峰提供

(台北中央社)台湾人作家の李琴峰(りことみ)さんが令和2年度の芸術選奨で文学部門の文部科学大臣新人賞を受賞した。昨年2月に出版した小説「ポラリスが降り注ぐ夜」の成果が認められた。李さんは3日、ツイッターで「心から嬉しく思う」と喜びを明かした。

李さんは1989年台湾生まれ。大学卒業後の2013年に訪日。2017年、日本語で書いた初の小説「独り舞」(原題:独舞)で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞しデビューした。2019年には小説「五つ数えれば三日月が」で第161回芥川賞候補に選ばれた。日本語、中国語の2言語で執筆活動を行う傍ら、翻訳者や通訳者としても活躍している。

「ポラリス~」は新宿二丁目のバーを訪れる女たちの7つの物語を編んだ作品。芸術選奨の贈賞理由では「そこに集う人々の姿を通して、李琴峰氏は鮮烈な愛のかたちを「複数形」で描き出した」と評価。「台湾からやってきた作者は力強い筆遣いで、内向しがちな現代日本の小説に清新(せいしん)な風を吹きこんだ」とし、「氏の受賞にふさわしい珠玉作である」と称賛した。

李さんはツイッターで同作について、「連作短編の形式を取り、なおかつ360枚という長大な枚数を費やしています。このようにして書かなければならないものが、この作品にはあります」と紹介した上で、「そしてそれが今回、芸術選奨新人賞で評価されることを、心から嬉しく思っております」と喜んだ。その上で、「より大切なのは、作品がきちんと読者に届くこと」だとし、受賞を機に同作が「より多くの読者に読まれることを、切に願います」と思いをつづった。

「五つ数えれば~」の中国語版を出版した台湾の出版社、聯合文学によれば、日本語を母語としない台湾人作家が同賞を受賞するのは初めて。

同奨は芸術各分野で優れた業績を上げた人や新生面を開いた人を表彰する賞で、計11部門で大臣賞、新人賞をそれぞれ選出する。今年度の受賞者は3日付で発表された。メディア芸術部門では漫画「鬼滅の刃」作者の吾峠呼世晴さんが、大衆芸能部門ではシンガーソングライターの米津玄師さんがそれぞれ新人賞を受賞した。贈呈式は9日に東京都内のホテルで開かれる。

(編集:名切千絵)