蔡総統「第4原発の稼働は選択肢にない」 震災10年で議論再燃/台湾

【政治】 2021/03/11 19:12 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
民進党主席を兼務する蔡総統=2021年3月10日、台北市

民進党主席を兼務する蔡総統=2021年3月10日、台北市

(台北中央社)東日本大震災発生から11日で10年を迎えるのを前に、台湾では建設凍結中の第4原子力発電所(新北市貢寮区)の稼働に関する議論が再燃している。蔡英文(さいえいぶん)総統は10日、「第4原発の稼働は絶対に選択肢にない」との考えを表明した。

脱原発を目指す蔡政権。当初は2025年の脱原発を掲げていたが、脱原発期限を「2025年まで」と定めた電気事業法の条文の廃止が2018年11月の国民投票で決まり、同12月に失効していた。

第4原発を巡っては、稼働の賛否を問う国民投票が8月28日に実施されることが決まっている。

与党・民進党主席(党首)を兼務する蔡総統は10 日の党中央委員会で、東京電力福島第1原子力発電所事故後の現況と台湾のエネルギー転換政策の見通しに関する報告を聞き取った。

蔡総統は第4原発を稼働しない理由として、安全性の問題と稼働に莫大な費用や時間がかかる点を指摘。安全性の問題に関しては、当時の設計が現在の耐震基準を満たさない上に、建設上のリスクも存在することに懸念を示した。

エネルギー転換を全力で進め、太陽光発電や風力発電の割合を徐々に増やしていくとし、約5~6年以内には発電量に占める再生可能エネルギーの割合が20%に達するとの見通しを示した。

▽原発擁護派、稼働は「政治こそが問題」

原発の反対派と擁護派の両者は10日、声明をそれぞれ発表した。反対派の市民団体は、第4原発には多くの問題がある上に建設ライセンスが失効しているため、稼働は不可能だと主張。国民投票では反対票を投じるよう呼び掛けた。

一方、第4原発の稼働に関する国民投票の筆頭人、黄士修さんは北部・桃園市の沿岸部に建設予定の天然ガス受け入れ基地が藻場の破壊につながる恐れがある問題などに触れ、「すでに建設済みの第4原発をなぜ稼働しないのか」と疑問を呈した。また、「稼働するのに技術や民意は問題ではなく、政治こそが問題だ」と訴えた。

台湾で現在稼働中の原子炉は第2原発(北部・新北市万里区)1、2号機と第3原発(南部・屏東県恒春鎮)1、2号機の計4基。第4原発については2基の建設が進められていたが、2015年に凍結された。

台湾電力の2020年の電源構成で再生可能エネルギーが占める割合は5.8%。火力が78.5%と最も多く、原子力は12.7%となっている。

(葉素萍、張雄風/編集:名切千絵)