東日本大震災から10年 21年を日台関係「転換」の年に=日本の駐台代表

【政治】 2020/12/01 11:31 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
泉代表(右)と牛肉麺店の店主さん

泉代表(右)と牛肉麺店の店主さん

(台北中央社)日本の対台湾窓口機関、日本台湾交流協会台北事務所の泉裕泰代表(大使に相当)が、東日本大震災から10年となる来年を新たな日台関係に向けた「転換」の年にしたいとの意気込みを示した。また、台湾の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定」(CPTPP)参加後押しにも意欲を見せた。

泉氏は昨年11月に着任。台湾生活2年目に突入した先月、流暢な中国語で中央社のインタビューに応じた。

泉氏と台湾との縁は深い。外務省アジア大洋州局中国課の課長を務めていた時代には、台湾の世界貿易機関(WTO)加盟支持や台湾人への勲章授与などを推進。李登輝元総統が退任後、日本訪問を希望する度にビザ発給の問題に直面していたため、台湾人の観光ビザ自体を免除とすることで解決するよう提言したという。インタビューでは、台湾は民主主義や人権、法の支配などの価値観を等しくする「日本にとり極めて重要なパートナー」だと強調した。

▽東日本大震災から10年、日台の友情を深める年へ

泉氏はこの日、台湾から多大な支援が寄せられた東日本大震災から10年目となる2021年を前に、日本でデザインを学んだ台湾人デザイナーに委託し同協会が初めて制作した、広報用のロゴマークやキービジュアルを紹介した。ロゴマークは、JAPANの「J」とTAIWAN の「T」を寄り添わせて漢字の「人」という文字にしたデザインで、互いに支え合う精神を象徴。キービジュアルでは、日台のさまざまな年齢や世代、性別、職業の2人が背中合わせで「人」の形を作り、日台間の絆を表現した。

来年1月23日には、台北市のランドマーク、台北101ビル外壁の大型電光掲示板にメッセージを灯し、台湾への感謝と友好を示す予定。ワン・ツー・スリーと良いスタートを切る意味と、東京オリンピック・パラリンピック開幕の半年前に当たることからこの日が選ばれた。このほかにも、さまざまな記念行事が企画されているという。

▽21年を日台関係の「ターニングポイント」に

泉氏はまた、1972年の日中国交正常化に伴って設立された同協会が、2022年に50年を迎えることに言及。日台断交50周年を意味するので「祝賀」はしないが、日台関係は「正式な外交関係がある国々との関係よりも密接だ」と述べ、来年を次の半世紀に向けたターニングポイントと位置付けて日台関係を一層推進する意向を示した。

具体例としてまず、昨年日本を訪れた台湾人が約500万人で、台湾を訪れた日本人が約200万人であると指摘。日本には300万人の「借り」があるとし、新型コロナウイルスが沈静化した暁には、少なくともこの差を縮めたいとの考えを示した。また、新型コロナウイルスの治療薬やワクチン分野における協力もできるはずだと期待感を見せた。

そして、日本が先ごろ、中国や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国からなる東アジア地域包括的経済連携(RCEP)協定に署名したことにも言及。台湾がこれに参加できていないとした上で、着任時に自身に与えた任務は「台湾をCPTPPに参加させること」だと明かし、日本の駐台湾代表として「台湾の経済発展のために最大の努力を払っていきたい」と述べた。

▽台湾グルメを愛する気さくな人柄

着任直後から「牛肉麺」好きを公表していた泉氏。庶民派グルメの情報に精通しているばかりでなく、日台で爆発的人気となっているアニメ映画「鬼滅の刃」の話題にも乗れる気さくな人柄を武器に、精力的に各界の人々と交流している。お気に入りは、地元の人しか知らないような路地裏の牛肉麺店だ。文化方面の造詣が深く、これからは台湾の原住民(先住民)文化など、日本にあまり知られていない台湾の文化を発信していきたいと目を輝かせていたのが印象的だった。

(顧荃/編集:塚越西穂)