(台北中央社)中国の情報機関から資金援助を受けて、台湾独立派の情報収集を行う集団を組織していたなどとして、台湾台北地方検察署(地検)は7日、社団法人「中華婦女連合会」の何建華理事長らを国家安全法違反の罪で起訴した。中国と通謀する行為への罰則強化を盛り込んだ同法が昨年7月に改正されて以降、初の起訴となった。
何被告は昨年、中国との統一を支持する「中華統一促進党」から立法委員(国会議員)に立候補。市民を旅行に招待し、贈賄を行った疑いで検察が何被告の携帯電話を調べたところ、中国の情報機関とやり取りをしていたことが分かった。
検察によれば、何被告は2017年5月から一連の工作に取り組んでいた。中国側と協力して、中国籍配偶者らの集まり、中華婦女連合会を台湾で組織し、中国が掲げる「両岸(台湾と中国)統一、一国二制度」などの宣伝を行っていたという。中国側の指示を受け、台湾独立を支持する台湾人が中国を訪問する情報も集めていたとされる。
検察は、何被告が今年1月の総統選で再選を目指していた蔡英文(さいえいぶん)氏に不利になる偽情報を拡散したとも指摘。蔡総統の学歴詐称を訴えるネガティブキャンペーンを積極的に行い、その見返りに中国の団体から現金を受け取っていたという。
同法では、国家の安全や社会の安定を損なわせるのを目的に、中国のために組織を発展させた者には、最高7年以上の懲役と1億台湾元(約3億4600万円)の罰金を科すと定められている。
(林長順、劉世怡/編集:楊千慧)