台湾青春バスケ映画「下半場」 兄弟愛に胸キュン

2019/09/11 06:45 文字サイズ: 字級縮小 字級放大

台湾映画の下半期話題作の一つ、「下半場」が台湾で8月23日に公開された。高校バスケットリーグを題材に、ライバルとして戦うことになる兄弟の成長や兄弟愛を描いたエンターテイメント作品に仕上がっている。

「下半場」劇中写真(逆光電影提供)

「下半場」劇中写真(逆光電影提供)

 母を早くに亡くし、父親も仕事で各地を転々としている事情によって姜秀宇と桐豪の兄弟は叔父の家に身を寄せ、2人で支え合って生きてきた。そんな2人の生きがいがバスケットボール。息ぴったりのコンビプレーで高校バスケ部の監督の目に留まり、とある出来事によって2人は別々の高校のバスケ部に所属することになる。それぞれの環境で苦しみながら、バスケリーグの大会でライバルとして真っ向勝負することになるーというストーリー。

 監督は「光にふれる」(逆光飛翔)や「共犯」などのチャン・ロンジー(張栄吉)。主演のファンディー・ファン(范少勳)とベルナート・チュウ(朱軒洋)はオーディションで抜擢された。2人とも演技経験は浅く、やや拙い部分は残りながらも、みずみずしく自然体な演技を披露している。チームメート役のキャストも、バスケの素地がある若者を対象とした公募オーディションで選ばれた。兄弟やバスケ部員を支える大人には、ルー・イーチン(陸弈静)やトゥオ・ゾンホア(庹宗華)、ドゥアン・チュンハオ(段鈞豪)ら実力派を起用。作品全体を引き締めている。

「下半場」劇中写真(逆光電影提供)

「下半場」劇中写真(逆光電影提供)

 全編を通じて描かれるのは、兄弟愛だ。弟を常に思いやる優しい兄、兄と離れて孤独を感じつつも一人で奮闘する弟、それぞれの心境が丁寧に描かれ、その兄弟愛の微笑ましさには、女性観客であれば胸キュンせずにはいられない。特に、細かな心境を感じさせるファンディーのナチュラルな表情の演技は秀逸だ。さらに、兄弟を取り巻く人々―父親やチームメート、バスケ部監督や校長など―とのそれぞれの関係性での愛も描かれ、心を温かくさせる。

 ストーリー展開は細かい設定に関してご都合主義的に感じられる部分もあるが、テンポの速さや登場人物の魅力がそれを補う。クライマックスの試合のシーンも臨場感にあふれ、観客を引きつける。

「下半場」劇中写真、ファンディー・ファン(范少勳)扮する姜秀宇(右、ワーナー・ブラザース提供)

「下半場」劇中写真、ファンディー・ファン(范少勳)扮する姜秀宇(右、ワーナー・ブラザース提供)

 近年話題になった台湾青春映画といえば、「私の少女時代」(我的少女時代)や「あの頃、君を追いかけた」などノスタルジーを呼び起こす恋愛映画、はたまたチャン監督の前作「共犯」や「怪怪怪怪物!」(報告老師!怪怪怪怪物!)といった若者の心の闇にスポットを当てた作品などが思い浮かぶ。高校の運動部をテーマにした作品では女子高の綱引き部を題材にした「志気」などもあるが、「下半場」は熱血というよりも温もりを感じさせ、笑いあり、涙あり、そして爽やかな、台湾の青春映画でこれまでありそうでなかった味わいの作品だ。

「下半場」劇中写真、ベルナート・チュウ(朱軒洋)扮する姜桐豪(左、ワーナー・ブラザース提供)

「下半場」劇中写真、ベルナート・チュウ(朱軒洋)扮する姜桐豪(左、ワーナー・ブラザース提供)

 国家電影中心発表の興行収入は公開初週(8月19~25日)に約600万台湾元(約2000万円)とまずますの滑り出しを見せ、2週目(8月26日~9月1日)には口コミの広まりによって初週を上回る約960万元(約3300万円)を記録。9月8日までの累計で約1990万元(約6950万円)に達している。

(編集:名切千絵)