例年にも増して華やかだったゲストの面々 第30回金曲奨/台湾

2019/07/11 06:58 文字サイズ: 字級縮小 字級放大

今年の金曲奨授賞式は30回目という節目の年を迎えるということもあり、パフォーマンスゲストやプレゼンターには例年以上に豪華な面々が揃った。

 パフォーマンスのプログラムでは、台湾のジョリン・ツァイ(蔡依林)をはじめ、香港のイーソン・チャン(陳奕迅)やタン・チーケイ(G.E.M.、トウ紫キ)、シンガポールのステファニー・スン(孫燕姿)ら人気、実力ともに高い中華圏各地のアーティストがこの日だけの特別なステージを披露した。(トウ=登におおざと)

オープニングを飾ったイーソン・チャン

オープニングを飾ったイーソン・チャン

 オープニングを飾ったイーソンは金曲奨最多受賞記録を持つ各アーティストの楽曲をメドレーで披露。バンドを従え、メイデイ(五月天)の「頑固」からチャン・ホイ(江ケイ)の「甲你攬牢牢」、アーメイ(張恵妹)の「黒吃黒」までバリエーションに富んだ曲をイーソンならではのスタイルで歌い上げ、授賞式の開幕にふさわしい壮大なステージを見せた。ステファニーは中華圏の音楽界を代表する女性歌手4人の名曲を、チーケイはユーチューブでの再生回数1億回超えの中国語人気曲10曲をそれぞれメドレーで熱唱した。(ケイ=草かんむりに恵)

ステージを披露するステファニー(左)とタン・チーケイ(右)

ステージを披露するステファニー(左)とタン・チーケイ(右)

 各エスニシティーの言語の保存を促進する台湾ならではのパフォーマンスもあった。昨年台湾語アルバム賞を受賞したバンド、エッグプラントエッグ(茄子蛋)と客家語歌手のホアン・ズーシュエン(黄子軒)、台湾原住民(先住民)パイワン族女性歌手のアバオ(ABAO、阿爆)の3組がコラボレーションし、台湾語、客家語、パイワン語で歌われるそれぞれの楽曲を見事に融合してみせた。3組が共同で制作した楽曲「交朋友」も披露し、お祭りムードのパフォーマンスで会場を沸かせた。

エッグプラントエッグ、ホアン・ズーシュエン、アバオの3組によるコラボレーションステージ(台湾テレビ提供)

エッグプラントエッグ、ホアン・ズーシュエン、アバオの3組によるコラボレーションステージ(台湾テレビ提供)

 感動の渦に包んだのは、久々に3人全員でステージに立った女性グループ「エスエイチイー」(S.H.E)。グループを象徴する「三つ葉」をイメージした舞台がアリーナの中央に設置され、3人は初期の代表曲「美麗新世界」とデビュー17周年を記念して昨年制作された新曲「十七」を熱唱。息の合ったコーラスで観客を魅了した。歌い終わるとメンバーは涙ぐみながら中央で手を重ね合い、固い絆を見せつけた。

アリーナの中央で熱唱するエスエイチイー

アリーナの中央で熱唱するエスエイチイー

 パフォーマンスゲストとして中華圏以外から唯一招かれた男性デュオ「ゆず」は、台湾の男性シンガーソングライター、エヴァン・ヨー(蔡旻佑)のピアノ演奏で代表曲「栄光の架橋」を披露した。

ゆずのパフォーマンス。エヴァン(左)がピアノ演奏を担当した

ゆずのパフォーマンス。エヴァン(左)がピアノ演奏を担当した



▽社会情勢に関心 政治的発言相次ぐ

 台湾のエンターテイメント業界の授賞式では、ゲストが社会問題に対するメッセージを発することも少なくない。今回の金曲奨授賞式では、大規模デモが続く香港を念頭においた発言が相次いだ。

 バンド賞を受賞したメタルバンド、ソニック(閃靈)のボーカルで立法委員(国会議員)のフレディ・リム(林昶佐)はスピーチの最後で「香港がんばれ、台湾万歳」と発言。特別貢献賞のプレゼンターを務めたインディーズレーベル「水晶唱片」の創業者、レン・ジャンダー(任将達)はあいさつの冒頭で「香港がんばれ」とエールを送った。特別貢献賞を受賞した音楽ユニット「ブラックリスト・スタジオ」(黒名単工作室)のメンバーはステージで一言も発さず、無言の抗議を繰り広げた。最後には「私はアジアにいる アメリカ帝国反対」とつづった横断幕を掲げ、強い政治的メッセージを放った。中国語男性歌手賞に輝いたラップ歌手のLEO王(レオワン)は「台湾に生まれたのは幸運で幸福なこと。クリエーターとして常に書きたいことを書いてきた。クリエーターにとってこれは、最も最も最も最も最も大事なこと」と叫び、言論の自由に対する思いをほのめかした。

「私はアジアにいる アメリカ帝国反対」と書かれた横断幕を無言で掲げたブラックリスト・スタジオのメンバー

「私はアジアにいる アメリカ帝国反対」と書かれた横断幕を無言で掲げたブラックリスト・スタジオのメンバー



▽レッドカーペットで注目を浴びたスター

 授賞式の前に行われたレッドカーペットには、ノミネートされたミュージシャンのほか、プレゼンターやパフォーマンスゲストなどが登場し、駆けつけたファンの大きな歓声を浴びた。

ジェリー・イェン

 最も大きな注目が集まったのは、プレゼンターとして招かれた俳優のジェリー・イェン(言承旭)。恋のお相手として長年噂になっていたモデルで女優のリン・チーリン(林志玲)と人気グループ「EXILE」のAKIRAの結婚が6月6日に発表されて以来初めて公の場に姿を見せたこともあり、言動に報道陣の視線が注がれた。

 ジェリーは笑顔を浮かべていたものの、表情はこわばっているように見え、どことなく陰鬱な雰囲気を漂わせた。報道陣の取材、写真撮影には応じず、足早に授賞式会場に入っていった。

レッドカーペットに姿を見せたジェリー(左)、授賞式でプレゼンターを務めた際の様子(右)

レッドカーペットに姿を見せたジェリー(左)、授賞式でプレゼンターを務めた際の様子(右)



イーソン・チャン/コーウェン・コー

 イーソン・チャンはカジュアルで個性的なスタイルで登場。中国語男性歌手賞にノミネートされていたコーウェン・コー(柯智棠)はシンプルで清楚な衣装にイケメンぶりが光った。

レッドカーペットで写真撮影に応じるイーソン・チャン(左)、コーウェン・コー(右)

レッドカーペットで写真撮影に応じるイーソン・チャン(左)、コーウェン・コー(右)



ゆず/エッグプラントエッグ

 ゆずの2人はファンの歓声にピースサインで応じるなど、気さくな一面を見せた。昨年の金曲奨で台湾語アルバム賞と新人賞を受賞し、一躍人気バンドの仲間入りをしたエッグプラントエッグは今年4月にメンバーが1人脱退し、現在は3人で活動中。今年は「浪流連」で年間楽曲賞にノミネートされた。受賞は逃したが、プレスエリアでは相変わらずの明るいキャラクターで報道陣の笑いを誘っていた。

レッドカーペットでピースサインをするゆずの2人

レッドカーペットでピースサインをするゆずの2人

レッドカーペットで写真撮影に応じるエッグプラントエッグの3人

レッドカーペットで写真撮影に応じるエッグプラントエッグの3人



リー・チェンナー/デニス・ホー/サンセット・ローラーコースター

 年間アルバム賞など3部門で候補となったリー・チェンナー(李千那)は大きく開いた胸元と片足だけ覗く美脚で色気を漂わせた。バンド「ソニック」とコラボレーションした楽曲「烏牛欄大護法-望天版」が年間楽曲賞にノミネートされた香港歌手のデニス・ホー(何韻詩)は目を引くビビッドな黄色のウインドブレーカー姿を披露。デニスによると、香港で起こった抗議デモで命を絶った黄色のレインコートの男性を追悼するためにこの衣装をまとったという。バンド賞などにノミネートされていたサンセット・ローラーコースター(落日飛車)は海外巡回公演中のため、メンバーの父親が代理で出席した。

レッドカーペットを歩くリー・チェンナー(左)、デニス・ホー(右)

レッドカーペットを歩くリー・チェンナー(左)、デニス・ホー(右)

サンセット・ローラーコースターのメンバー代理で出席した父親4人

サンセット・ローラーコースターのメンバー代理で出席した父親4人



(名切千絵)