第29回金曲奨 中国語歌手賞はララ・スーとイーソン・チャンの手に

2018/07/12 06:05 文字サイズ: 字級縮小 字級放大

台湾の音楽の祭典「2018ゴールデン・メロディー・アワード(金曲奨)授賞式」が6月23日、台北市の台北アリーナで開催された。アルバム884枚、計1万9539作品の応募があった今年の金曲奨。その中からノミネートされた152作品が27の賞を争った。最多ノミネートはアーメイ(張恵妹)「偷故事的人」とリン・ジュンジエ(林俊傑、JJ)「偉大的渺小」の各6部門。アーメイとJJはいずれも中国語歌手賞候補に選ばれており、受賞の行方に注目が集まった。

▽最優秀中国語男女歌手はイーソン・チャンとララ・スー

中国語女性歌手賞を受賞したララ・スー(左)と中国語男性歌手賞を受賞したイーソン・チャン

中国語女性歌手賞を受賞したララ・スー(左)と中国語男性歌手賞を受賞したイーソン・チャン

中国語女性歌手賞を手にしたのは、シンガーソングライターのララ・スー(徐佳瑩)。アーメイやジュリア・パン(彭佳慧)ら受賞経験がある強豪を退けての初受賞となった。名前が呼ばれた瞬間、大きな口を開けて信じられないといった表情を浮かべたララ。彼氏でララの楽曲のMVなども手掛ける映像監督のビル・チア(比爾賈)とキスを交わすと、会場からは大きな歓声が上がった。

ララは昨年12月に前作以来3年ぶりにリリースした5枚目のオリジナルアルバム「心裡学」で中国語アルバム賞もダブル受賞した。

受賞スピーチをするララ・スー

受賞スピーチをするララ・スー

中国語女性歌手その他候補者。左からアーメイ、ジュリア・パン、Faye 飛、呂薔Amuyi。

中国語女性歌手その他候補者。左からアーメイ、ジュリア・パン、Faye 飛、呂薔Amuyi。

JJやニッキー・リー(李玖哲)といった受賞経験者に初受賞を狙うシャオユー(小宇、宋念宇)、シュー・シューハオ(許書豪)がぶつかった中国語男性歌手賞は、2015年以来3年ぶり3度目の受賞を狙う香港出身歌手のイーソン・チャン(陳奕迅)が制した。

中国語男性歌手賞のその他候補者。左からシュー・シューハオ(許書豪)、シャオユー(小宇)、ニッキー・リー(李玖哲)、リン・ジュンジエ(林俊傑、JJ)

中国語男性歌手賞のその他候補者。左からシュー・シューハオ(許書豪)、シャオユー(小宇)、ニッキー・リー(李玖哲)、リン・ジュンジエ(林俊傑、JJ)

マイクの前に立った瞬間、「ハハッ」と思わず笑い声をもらし、喜びを隠しきれない様子だったイーソン。「台湾のみなさんや審査員の方々は僕に多くの愛をくれる」と感謝を示し、スピーチの最後にはアカペラを披露して会場を沸かせた。イーソンは、言語別(中国語、台湾語、客家語、原住民語)アルバム賞4部門にノミネートされた全19作品の中から選ばれる「年間アルバム賞」も同時に獲得した。

ジャンプで受賞の喜びを表現するイーソン・チャン(中央)

ジャンプで受賞の喜びを表現するイーソン・チャン(中央)



▽クラウド・ルーがドラマ主題歌「魚仔」で年間楽曲賞&作曲家賞

ステージで笑顔を見せるクラウド・ルー

ステージで笑顔を見せるクラウド・ルー

最も優れた楽曲に贈られる年間楽曲賞に輝いたのはクラウド・ルー(盧広仲)の「魚仔」。クラウドは同曲で実に4部門にノミネートされており、最終的には年間楽曲賞と作曲家賞の2部門を受賞した。年間楽曲賞で名前が呼ばれた時には、左胸に手を当て、感動を噛みしめるかのような笑みを浮かべたクラウド。「曲を書く中でロマンチックなことは、みんなも曲を好きになってくれること」と感慨深げに話し、今後の創作活動にも意欲を見せた。

▽新人エッグ・プラント・エッグが台湾語アルバム賞制す

プレスルームで喜ぶエッグ・プラント・エッグの4人

プレスルームで喜ぶエッグ・プラント・エッグの4人

新人賞は男性4人組のエッグ・プラント・エッグ(茄子蛋)が、昨年リリースしたファーストアルバム「卡通人物」で将来の発展性を評価されて受賞。授賞式前に行われたレッドカーペットの取材エリアでは多くのメディアに囲まれており、注目度の高さが示された。

エッグは、ボーカル兼キーボードの阿斌、ギターの阿徳と阿任、ドラムの小頼からなるグループ。2012年に結成された。

同時に台湾語アルバム賞も獲得。金曲奨常連のリッキー・シャオ(蕭煌奇)や大御所のチェン・ミンジャン(陳明章)らを退けての受賞となった。舞台裏のプレスルームでは、台湾語男性歌手を受賞したリッキーから握手で祝福されるる場面も。リッキーは、エッグのアルバムについて「好き」と話し、「新しい人たちの時代。新しいものが入ってくるのは台湾の音楽にとって良いことであるし、新しいバンドとして台湾語の楽曲のために頑張ってほしい」とエールを送っていた。

▽宮古島出身の歌手・Hiraraさんが参加した作品が先住民語アルバム賞に

先住民語アルバム賞を受賞したCMO楽団のメンバー(左)。「直美」に参加したHiraraさん(右)

先住民語アルバム賞を受賞したCMO楽団のメンバー(左)。「直美」に参加したHiraraさん(右)

原住民語(先住民語)アルバム賞には、台湾原住民アミ族と漢人のメンバーで構成されるオーケストラ、CMO楽団(創造音楽室内楽団)の「直美」が選ばれた。同作の収録曲「Anna ina」には宮古島出身の歌手、Hiraraさんが参加している。

授賞式に出席したHiraraさんによれば、沖縄が大好きだというCMO楽団のリーダーの蘇瓦那さんから「沖縄の音楽とコラボしたい」という話が持ち掛けられたのが共同制作のきっかけ。「お母さんにまつわる宮古島の曲を探してほしい」と依頼され、宮古島の古謡を時間をかけて探したという。この古謡を原曲に、CMO楽団が編曲し、宮古島の言葉とアミ語で歌う「Anna ina」が生まれた。Annaとinaはそれぞれ宮古島の言葉とアミ語でそれぞれ「母」を表す。

「良いコラボができたと思う」と自信をみせるHiraraさん。「台湾も大好きなので、いろいろな方とコラボしていきたい」と意欲をのぞかせた。

▽最多受賞はジャズアルバム「happened, happening」の3部門

3部門受賞のシュー・ユーイン

3部門受賞のシュー・ユーイン

今年の金曲奨の最多受賞はジャズピアニスト、シュー・ユーイン(許郁瑛)のアルバム「happened, happening」の3部門(演奏類アルバム賞、演奏類アルバムプロデューサー賞、演奏レコーディングアルバム賞)。ボーカル入りの楽曲が対象となる歌唱類では、イーソンやララをはじめ最多で2部門受賞にとどまり、受賞者がばらけた印象がある。

最多ノミネートのアーメイは、ミュージックビデオ賞の1部門を受賞したのみ。JJは全滅に終わったが、授賞式ではパフォーマンスのトリを務め、大きな存在感を示した。

ステージを披露するJJ

ステージを披露するJJ



▽初司会のジャム・シャオ、多彩なエンターテイナーぶり発揮

マルチな才能を見せつけたジャム・シャオ。左はオープニングパフォーマンス、右は手影絵ショーの様子

マルチな才能を見せつけたジャム・シャオ。左はオープニングパフォーマンス、右は手影絵ショーの様子

金曲奨授賞式は、受賞の結果だけでなく、ゲストやパフォーマンスなども見どころの一つ。その中で今年最も存在感を放ったのは、司会を務めた歌手のジャム・シャオ(蕭敬騰)と言えるだろう。初司会ながら堂々とした立ち振る舞いで、オープニングパフォーマンスから合間での手影絵ショー、逆さ絵の即興制作、中国語歌手賞ノミニーとの爆笑の掛け合いまで、芸達者ぶりを存分に発揮。一般的な司会者とは一線を画す独特のスタイルで、式典を盛り上げた。

プレゼンターでその才能を強く印象づけたのは、休止中のバンド、ソーダグリーン(蘇打緑)のボーカルで、今年ソロ活動を始動させたチンフォン(青峰)。年間楽曲賞のプレゼンターを担当したチンフォンが、ノミネート曲5曲をメドレーにしてアカペラでなめらかに歌い上げると、会場からは大きな歓声が上がった。

プレゼンターを務めたチンフォン(台湾テレビ提供)

プレゼンターを務めたチンフォン(台湾テレビ提供)

ビビアン・スー(徐若[王宣])もプレゼンターとして登場。黒のロングジャケットとニーハイブーツというセクシーなスタイルを披露し、圧倒的な美しさで会場の視線を釘付けにした。授賞式の前に行われたレッドカーペットでは胸元が大きく開いた黒のトップスとマスタード色のロングスカートというシックな服装で、異なる雰囲気を見せた。

ビビアン・スー。左はレッドカーペット、右は授賞式での姿

ビビアン・スー。左はレッドカーペット、右は授賞式での姿



(名切千絵)