注目の台湾映画:サスペンス「目撃者」 隠された真実とは 

2017/04/14 18:46

「目撃者」。主演のキャッシュ・チュアン(穀得提供)

「目撃者」。主演のキャッシュ・チュアン(穀得提供)

映画「目撃者」(台湾で3月31日公開)は、9年前に起きた死亡事故を巡り、当時目撃者だった新聞記者が真相を探るうちに隠されていた闇が次々と明らかになる…というサスペンス。物語が進むにつれて登場人物の関係が点から線になっていく過程は痛快。テンポのいい展開で、息つく暇もなく観客を作品の世界に引き込んでいく。

チェン・ウエイハオ監督(中央)と出演者のアリス・クー(柯佳[女燕])、左)、キャッシュ・チュアン=3月に開かれたメディア向け試写会

チェン・ウエイハオ監督(中央)と出演者のアリス・クー(柯佳[女燕])、左)、キャッシュ・チュアン=3月に開かれたメディア向け試写会

メガホンを取ったのはチェン・ウェイハオ(程偉豪)監督。興行収入8500万台湾元(約3億500万円)のヒットを記録したホラー映画「紅衣小女孩」に続き、2作目の長編作品となる。主役の新聞記者「小齊」(シャオチー)を演じるのは、昨年「菜鳥」で台北映画賞助演男優賞を受賞したキャッシュ・チュアン(荘凱[員力])。「紅衣~」でヒロインに扮したティファニー・シュー(許[王韋]ネイ)は今作でも主演を務め、小齊の上司を演じている。

同作では特にキャッシュの演技が光る。記者を演じるにあたり、撮影前には新聞社で実習を行ったほか、実際に社会担当の記者と交流したり、警察署で警察官と記者のやり取りを学んだりしたという。その成果か、小齊が警察署の上官とやり取りをする場面はまさに「台湾の記者」そのもの。事件の真相に迫る過程では恐怖心や苦悩、裏の一面などものぞかせ、小齊という人物の“人間らしさ”を存分に表現している。

同作の興行収入は公開から2週間の4月13日現在、3500万元(約1億2550万円)を突破し、好調ぶりを見せている。一般的にはサスペンスやホラーなど「ジャンル映画」(特定のジャンルに分類可能な娯楽映画)は台湾映画の得意な分野ではないと言われる。だが近年、にわかに台湾映画界でジャンル映画が活気を見せつつある。サスペンスやホラーだけで見ても、2015年には先に挙げた「紅衣~」のほか、日台合作のホラー映画「屍憶」も2000万元(約7200万円)を超えるヒットを叩き出した。

ワン・ボージエ(王柏傑、左)、ティファニー・シューが主演した「失控謊言」(前景娯楽提供)

ワン・ボージエ(王柏傑、左)、ティファニー・シューが主演した「失控謊言」(前景娯楽提供)

2016年には人気小説家、九把刀の作品を原作としたサスペンス「楼下的房客」が1億3000万元(約4億6600万円)の興行収入を稼ぎ、同年の台湾映画としては2位となる好成績を残した。興収は振るわなかったものの、実際の事件を題材にしたサスペンス「失控[言荒]言」も注目を集めた。映画ではないが、今年に入ってからはサスペンスドラマ「天黒請閉眼」が口コミで話題となり、最終話の視聴率は1.61%と同時間帯の1位に輝いた。

昨年12月に開かれた「紅衣小女孩2」のクランクアップ会見。左からコウ・ガ(黄河)、ティファニー・シュー、チェン・ウェイハオ監督、レイニー・ヤン、フランチェスカ・カオ(高慧君)

昨年12月に開かれた「紅衣小女孩2」のクランクアップ会見。左からコウ・ガ(黄河)、ティファニー・シュー、チェン・ウェイハオ監督、レイニー・ヤン、フランチェスカ・カオ(高慧君)

今夏以降には九把刀が監督・脚本を担当した「報告老師!怪怪怪怪物!」、「紅衣~」の続編「紅衣小女孩2」など期待作の公開が控えている。「紅衣2」には新キャストとしてレイニー・ヤン(楊丞琳)が加わり、さらにパワーアップ。今後の台湾サスペンスやホラーのさらなる発展を楽しみにしたい。

(名切千絵)