台北マラソン ハーフに記者が挑戦してみた/台湾

2016/12/22 19:03文字サイズ:字級縮小字級放大
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台北マラソン

台北マラソン

台湾最大規模のマラソン大会「2016台北マラソン」(台北市政府主催)が18日、台北市内で開催された。同大会は近代的な商業エリア、信義区の台北市政府を起点・終点とし、台北市内をぐるっと一周するコースで行われ、普段は多くの車が行き交う大通りを疾走できるのが魅力の一つでもある。記者(30代前半)は友人の誘いを受け、ランニング初心者ながらも同大会に参加してきた。

ハーフマラソンのコース(台北マラソン公式HPより)

ハーフマラソンのコース(台北マラソン公式HPより)

◇記者はハーフマラソンに挑戦

今年実施されたのは、42.195キロのフルマラソンと21.0975キロのハーフマラソンの2種目のみ。募集人数はフルが7000人、ハーフが1万8000人、計2万5000人が参加する大会となる。応募受付が始まったのは9月1日。そこから大会まで3カ月半ほどしか残されていないため、記者はハーフマラソンに応募することに。台北市政府体育局によると、応募者は予定人数を上回り、抽選で出場者が選ばれた。当選率はフル・ハーフの平均で48%だった。

大会当日の市政府駅。参加者で埋まるエスカレーター。事業実施主体の中華民国路跑協会が指定する荷物受託用の赤い袋を持つ人の姿も目立つ。この赤い袋は台湾のマラソン大会ではお馴染みの光景となっている

大会当日の市政府駅。参加者で埋まるエスカレーター。事業実施主体の中華民国路跑協会が指定する荷物受託用の赤い袋を持つ人の姿も目立つ。この赤い袋は台湾のマラソン大会ではお馴染みの光景となっている

◇会場の最寄り駅は参加者で大混雑

約3カ月の練習を経て迎えた大会当日の朝。フルは午前6時30分、ハーフは7時にスタートするため、同日は午前5時20分から台北メトロ(MRT)が臨時運行された。起点最寄りの市政府駅は記者が到着した午前6時にはランニングウェアに身を包んだランナーで溢れ、大会の熱気を早速感じることに。

サロンパスのブース

サロンパスのブース

会場にはスポンサーらのブースが多数出展されていた。サロンパスはランナーに消炎スプレーを吹き付けるサービスを実施。多くのランナーが利用しており、記者も念のため吹き付けてもらった。健康食品の「白蘭氏」は体力増強に効果があるとされるチキンエキスを配布していた。

日本の都市のブース

日本の都市のブース

台北市の招きで選手団を派遣した日本の4県市のPRブースもあった。

◇午前7時に号砲

ハーフは事前に申請したゴール予想タイムに応じて整列エリアがA~Dの4カ所に分けられた。記者が並んだのは最後にスタートするDエリア。集合時間は6時30分とされていたが、Dエリアはスタートブロックの脇に設置されていたため、時間を過ぎて到着しても問題ないようだった。スタートが近づくに連れてエリアには人が増え、身動きが取りにくい状態に。

一斉にスタート

一斉にスタート

7時ちょうどの号砲でスタート。記者が実際にスタートラインを通過したのはそれから7分近く経ってから。練習時のペースから計算すると、完走可能タイムは制限時間の3時間ギリギリになると予想していたため、大きなタイムロスに不安を抱えながら出発することになった。

仁愛路

仁愛路

◇仁愛路を抜けて中山南・北路へ

まずは市政府の周辺をぐるっと一周し、仁愛路へ。このころは日がまだ低く、街路樹のおかげで道全体が日陰になっていたため、涼しく快適に走行。一路西に進むと、5キロを過ぎたあたりで総統府が見えてきた。総統府は朝日を浴び、いつもよりもなんだか重厚に見えた。

「ピカチュウ」のコスプレをしたランナーも

「ピカチュウ」のコスプレをしたランナーも

総統府の手前、国の一級古跡に登録されている景福門(東門)のロータリーで右折し、中山南路へ。ここからは北に進む。仁愛路は静かだったものの、中山北路に入ると、応援隊などもチラホラ見えてきた。脇の道路を走る車やスクーターも多くなり、賑やかな都市マラソンらしい雰囲気になってきた。だが、この頃から日差しが強くなり始めたと同時に、ランナーと交通量の多さからか息苦しさが襲ってきた。中山北路には7.5キロと10キロ地点の2カ所に給水所があったが、どちらも大混雑。水分を持参していて良かったと心から思った。

グランドホテル台北が見えてきた

グランドホテル台北が見えてきた

◇台北のランドマーク、円山大飯店が目の前に

花博公園や台北市立美術館を横目に走ると、前方には中華宮殿風の外観が特徴の「グランドホテル台北」(円山大飯店)が視界に入ってきた。ここから対岸に渡るために橋を渡るのだが、橋はランナーでびっしり。異様な光景に目を奪われた。

橋を渡った後は北安路を東へ。この道は基隆河に沿って伸びているのだが、右手は堤防になっており、正直なところ景色は今ひとつ。堤防沿いの一本道のコースは11キロ手前から15キロまで続いた。堤頂大道にぶつかると次は南に進んでいく。15キロを越えるとゴールまであと少しという心境に。だが、疲労も徐々に感じるようになり、なかなか足が進まなくなってくる。15キロ過ぎの地点で時刻は9時を回っており、17キロの制限時間9時20分までは18分ほどしかない。改めて気合を入れ、歩を進めていく。

麦帥二橋。ランナーが米粒のように見える

麦帥二橋。ランナーが米粒のように見える

◇ラスト4キロには難関も

麦帥二橋の手前の17キロ地点はなんとかギリギリ9時20分に通過。付近には棄権者や時間に間に合わなかったランナーを乗せる回収車が2台待機していた。ここまで来れば強制棄権させられる可能性もぐっと低くなるため、ほっと胸を撫で下ろすことができた。前方の麦帥二橋に目を向けると、橋の上は再びランナーでびっしり。橋を背景に記念撮影をするランナーも多くみられた。橋の下側の河辺にはフルマラソンのランナーの姿も。この橋の入り口は勾配が険しく、すでに体力が限界に近づいているランナーにとっては厳しい通過地点となった。記者の周辺ではほとんどの人が歩いてしまっていた。記者もさすがにこの傾斜を走って上る体力はなく、休憩を兼ねてしばらく歩くことに。

この頃は日差しが一段と強くなり、気温も上昇(中央気象局の統計によると、台北の気温は同日午前9時で21.5度、同10時は24.3度を観測)。橋を過ぎて高架道路に入ると、台北101が一段とはっきりと見えてきた。ゴールまであと少し。ここから先は日陰になるところもあり、わりと快適に走れた。

ラスト1キロ

ラスト1キロ

記者にとって最後の難関となったのは19キロ過ぎの基隆路地下道。地下道は閉鎖的でなんとなく息苦しく、単調な光景が続くため、走り続ける気力をあやうく奪われそうになる。途中で歩きながらもなんとか地下道を抜けると、「ラスト1キロ」の看板を発見。沿道からの声援に後押しされ、再び力が湧いてきた。目標としていた時間内の完走が現実味を帯びてくると早くも感動が溢れ、思わずうるうるしそうになった。

ゴールは目前

ゴールは目前

◇いよいよゴール

台北101の手前を左折し、そのままゴール。ゴールで出迎えてくれた大会スタッフの女性たちとハイタッチをし、完走の喜びを分かち合った。そして完走紀念のメダルとバスタオルも獲得。誇らしい気持ちで大会を終えた。成績は大会時間2時間55分台、順位も13757人中10010 位と決して良い成績とは言えないが、初心者ランナーとしては完走という目標が達成できただけで大満足だった。

完走者に贈られたメダルとバスタオル

完走者に贈られたメダルとバスタオル

◇台北マラソンの課題と今後

今年も無事幕を下ろした台北マラソン。普段生活している台北の街をいつもとは異なる視点から眺めることができ、貴重な経験になった。一方で物足りない部分もあった。今回、フルマラソンは市西部の古跡を巡るコースが設定されていたものの、ハーフはそのコースが省略され、10キロ過ぎから17キロ地点まではひたすら堤防沿いを走ることになり、台北の魅力を感じにくくなっていた気がした。台北市政府は台北マラソンのエリート化を目指しており、今後はフルマラソンに一本化されることが計画されている。台北マラソンの今後の発展に期待したい。

ランニングコースとして人気の新店渓沿いの古亭河浜公園

ランニングコースとして人気の新店渓沿いの古亭河浜公園

◇こぼれ話:台湾のランニング事情

台湾では近年、ランニング人気が続いている。ランニング情報サイト「運動筆記」の統計によると、2016年に台湾全土で開かれた大会数は700件以上。台北やその近郊は河辺が公園や自転車道として整備されているほか、一部学校では早朝や夜間に運動場を開放しており、ランニングの練習がしやすい環境にある。台北市の中心部にある大安森林公園は週末ともなると、多くのランナーで賑わう。大会直前の12月15~17日には市内でランニング関連の業者が出店する「マラソンエキスポ」も開かれた。

(名切千絵)

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