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第53回金馬奨ノミネート紹介:長編フィクション作品賞

2016/11/02 17:56
ゴッドスピード(甲上提供)
ゴッドスピード(甲上提供)

中華圏の映画人にとって最高栄誉とされる映画賞「ゴールデン・ホース・アワード」(金馬奨)の第53回授賞式が11月26日に台北市内で開催される。世界各地の中国語および華人製作の映画を対象とし、23の賞を授与する。

今年は長編フィクション181本、長編アニメーション5本、ドキュメンタリー92本、短編フィクション194本、短編アニメーション62本の計534本の応募が寄せられた。

最も注目される長編フィクション作品賞にノミネートされた5作品のうち、2本が台湾、または台湾と複数国の合作、2本が中国大陸、1本が香港映画となっている。

◇「ゴッドスピード」

「ゴッドスピード」(一路順風)は台湾のチョン・モンホン(鍾孟宏)監督が手掛ける3年ぶりの新作。香港の喜劇俳優、マイケル・ホイ(許冠文)を主演に迎え、マイケル演じる香港出身のタクシー運転手と偶然出会ったならず者の麻薬運び屋の珍道中を描く。

同作は長編フィクション作品賞のほか、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、撮影賞など計8部門にノミネート。11月4日に開幕する金馬映画祭のオープニング作品にも選ばれている。

チョン監督は金馬奨の常連。2010年の「4枚目の似顔絵」(第四張画)は最優秀台湾映画賞や監督賞などを受賞。2013年の「失魂」でも監督賞にノミネートされた。

マンダレーへの道(岸上影像・前景娯楽提供)
マンダレーへの道(岸上影像・前景娯楽提供)
◇「マンダレーへの道」

「マンダレーへの道」(再見瓦城)はミャンマー出身で、台湾を拠点に活躍するミディ・ジー(趙徳胤)監督の長編フィクション第4作目。ミャンマーからタイに密入国し、不法就労する男女を描いた。主演は「あの頃、君を追いかけた」(那些年,我們一起追的女孩)のクー・チェンドン(柯震東)とミディ監督作品に多数出演しているウー・クーシー(呉可熙)が務める。台湾、ミャンマー、フランス、ドイツの合作映画。

今回の金馬奨では、監督賞、主演男・女優賞、オリジナル脚本賞など計6部門にノミネート。金馬映画祭ではクロージングを飾る。今年の第73回ベネチア国際映画祭ではヨーロッパ映画批評家協会最優秀作品賞を受賞した。また、11月19日に東京で開幕する「第17回東京フィルメックス」ではコンペティション部門にノミネートされた。

大樹は風を招く(金馬国際映画祭公式Youtube「大樹は風を招く」予告より)
大樹は風を招く(金馬国際映画祭公式Youtube「大樹は風を招く」予告より)
◇「大樹は風を招く」

「大樹は風を招く」(樹大招風)は香港のクライム映画。1997年、中国大陸への返還を間近に控えた香港を舞台に、実在した3人のギャングの人生からヒントを得て製作された。香港監督のジョニー・トー(杜[王其]峯)がエグゼクティブプロデューサーを務め、トーが主宰する香港若手映画人の発掘を目的とした映画祭「鮮浪潮短編映画祭」の受賞監督、フランク・ホイ(許学文)、ジェヴォンズ・アウ(欧文傑)、ヴィッキー・ウォン(黄偉傑)の3人がメガホンを取った。主演はラム・カートン(林家棟)、リッチー・レン(任賢齊)、ジョーダン・チャン(陳小春)。

今回の金馬奨では、新人監督賞、オリジナル脚本賞など5部門にノミネートされた。

我不是潘金蓮(金馬国際映画祭公式Youtube「我不是潘金蓮」予告より)
我不是潘金蓮(金馬国際映画祭公式Youtube「我不是潘金蓮」予告より)
◇「我不是潘金蓮」

「我不是潘金蓮」は、元夫が言い放った「お前は潘金蓮だ」という一言を巡り、自身の潔白を証明するために十数年にも渡って訴えを続けた女性の物語をコメディータッチで描いた作品。中国大陸の作家、劉震雲の同名小説をリメイクした。監督は、昨年の金馬奨で主演男優賞を受賞したフォン・シャオガン(馮小剛)。中国大陸の人気女優、ファン・ビンビン(范冰冰)が主演している。タイトルは「私は潘金蓮ではない」という意味で、「潘金蓮」とは中国大陸の小説「水滸伝」や「金瓶梅」に登場する悪女・淫婦のキャラクターを指す。

今回の金馬奨では、監督賞、主演女優賞、改編脚本賞など5部門にノミネートされた。

八月(金馬国際映画祭公式Youtube「八月」予告より)
八月(金馬国際映画祭公式Youtube「八月」予告より)
◇「八月」

「八月」は一人の男の子の視点から、1990年代初期、変化を遂げつつある中国大陸の社会の姿を振り返る作品。モノクロで描かれている。内モンゴル出身のチャン・ダーレイ(張大磊)監督の長編デビュー作でもある。同作は低予算で製作されたインディーズ映画で、中国大陸でもロードショー上映されていない。だが、今回の金馬奨では新人監督賞、新人俳優賞、オリジナル脚本賞など6部門にノミネートされており、今回最大のダークホースとされている。

(名切千絵)

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