ソーダグリーンの5部門制覇という結果で幕を閉じた「ゴールデン・メロディー・アワード」(金曲奨)の第27回授賞式。賞レースの合間には豪華アーティストによるパフォーマンスなどが行われ、式に華を添えた。記者が独自に選んだ今回の授賞式の5大注目シーンをお届けする。
1. 別格のスター性と実力を見せつけたアーメイ別名義プロジェクト、アミット(AMIT)としてリリースしたアルバム「AMIT2」で6部門にノミネートされ、4度目の女性歌手賞獲得に期待がかけられながらも、受賞数ゼロに終わったアーメイ(張恵妹)。だが、レッドカーペットとパフォーマンスでは圧倒的な存在感と実力を示し、観客を大いに沸かせた。
レッドカーペットには、胸元を強調するデザインのドレスと高さ20センチ前後と思われるハイヒール姿で登場。リムジンから降りると割れんばかりの歓声が起きた。取材エリアでは「痩せた!」との声も。自身の出身集落の村民や長老、親族などで構成される歌謡団「大巴六九」とともに取材を受け、嬉しそうな表情を見せていた。「大巴六九」の作品はアーメイが音楽ディレクターを務め、原住民語アルバム賞にノミネートされていたが、こちらも受賞は逃した。2. 社会的テーマにスポット多くの出席者が社会的テーマに触れ、自分の考えを示していたのが印象的だった授賞式。音楽人の台湾社会に対する関心の高さを改めて感じさせた。
カレン・モク(莫文蔚)のパフォーマンスの前に案内人として登場したアリエル・リン(林依晨)は、暴力やいじめを受けている人、同性愛者など十分な愛を受けられていない人々の存在に触れ、愛を与えることの重要性を熱弁した。
先住民出身歌手のサミンガ(紀暁君)は「FROZENMOSA」と題したパフォーマンスで、大地の変化を投射した球体に乗って多言語で楽曲を熱唱。異常気象が示す環境汚染への危惧と環境問題への関心を訴えかけた。チンフォンは作詞家賞の受賞スピーチの中で、「真心をもって自身の信念と向き合っている人に感謝したい」とし、婚姻の平等、動物保護、森林・環境保護を叫ぶ人、ストライキをする人、恵まれない人のために声を上げる人、自分の権利のために戦う人などの存在を挙げ「あなたがたが私を変えてくれました。一緒に頑張りましょう」と支持する姿勢を示した。楽曲賞でスピーチしたアロ・カリティン・パチラルは、自らの権利を勝ち取るためにストライキを起こしたチャイナエアライン(中華航空)の客室乗務員や農作物を育てる農家、先住民に受賞曲「不要放棄」を捧げると述べ、楽曲のメッセージである“あきらめないこと”の重要性を伝えた。
3. 安定のパフォーマンスで観客魅了 カレン・モクと平井堅今回の授賞式で行われた8組のパフォーマンス。どのアーティストも工夫を凝らしたレベルの高いステージを披露したが、中でも特に安定の実力を見せつけていたのは、カレン・モクと平井堅。美しい歌声で観客や視聴者を魅了した。インターネット掲示板「PTT」には二人のパフォーマンスに対し「すばらしい」などと称賛のコメントが多数寄せられた。
平井堅はギタリストのバオブー(保ト)と共演し、新曲「魔法って言っていいかな?」を披露した。4. デジタル配信楽曲も審査対象に音楽の視聴方法の変化の流れを受け、今年は金曲奨史上初めて、デジタル配信限定楽曲の楽曲賞への応募を受け付けた。インターネットで人気を博しているユニット「Nine One One」(玖壹壹)と「The Last Day of Summer」(八三夭)をパフォーマンスゲストに招き、新たな時代の幕開けを象徴した。
特別貢献賞を受賞したトレイシー・ホアンも音楽のデジタル化に言及。CDは一種の形式でしかないとし、音楽で大切なのはメッセージを伝えることだと時代の変化に肯定的な見方を示した。5.小Sとツァイ・カンヨンの再タッグ、のちに波紋も今年1月に惜しまれながらも12年の歴史に幕を下ろしたバラエティー番組「康熙来了」で長年司会を務めていたツァイ・カンヨン(蔡康永)と女性タレントのシュー・シーディー(小S、徐煕[女弟])の2人が再タッグ。プレゼンターを務めた。客席のアーメイやジョリン・ツァイ(蔡依林)、ソーダグリーンのチンフォンなどとの絡みも見せ、会場を盛り上げた。
だが、チンフォンと絡んだ一幕はその後、一騒動に発展。問題になったのは、2人がふざけてチンフォンを「峰姐」(峰姐さん)と呼んだというもので、授賞式ではそのニックネームを快く思わないチンフォンが憤慨して席を立ち去るフリを見せていた。この発言に対し、世論では多元的なジェンダーに対する偏見だとして非難が噴出。小Sとカンヨンがフェイスブックで謝罪する事態に発展した。=============
台湾テレビ(台視)によると、授賞式の生中継は計392万6000人が視聴。平均視聴率は4.38%で、同時間帯に放送された全番組の中で1位を記録した。瞬間最高視聴率は「Nine One One」のパフォーマンスのシーンで、6.11%だった。(名切千絵)