中華圏を代表する映画の祭典「ゴールデン・ホース・アワード」(金馬奨)の第52回授賞式が11月21日、台北市の国父紀念館で盛大に営まれた。金馬奨の対象は世界各地の中国語および華人製作の作品。今回は長編フィクション153本、長編アニメーション4本、創作短編200本、ドキュメンタリー70本、計427作品と過去最多の応募が寄せられ、23の賞(正式コンペティションと観客賞含む)を争った。
◇ホウ・シャオシェン監督「黒衣の刺客」が最多5部門獲得最多受賞となったのは、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の「黒衣の刺客」(刺客聶隠娘)。フィクション映画作品賞、監督賞、撮影賞、メイク・衣装デザイン賞、音響効果賞の5部門を制覇した。
「台湾映画の巨匠」と呼ばれるホウ監督だが、金馬奨での作品賞受賞は今回が初。「良い作品を撮り続けることが一番大切」と語り、製作へのさらなる意欲を示した。ホウ監督は、特別賞の「年度台湾傑出映画製作人」も受賞。映画撮影のプロセスは自身にとって「心から望んでいること」と製作への愛を吐露。御年68歳のホウ監督は製作には体力が必要で「いつまで撮れるか分からない」としながらも「撮れるまで撮りたい」と語った。また、唐代を舞台にした作品を作り続けたいと今後の展望についても明かした。若い世代の製作者についても言及。映画製作におけるデジタル化のメリットを挙げ、「あまり考えずにまずは撮りなさい」とエールを送り、応援していきたい考えを示した。
作品賞発表後には、ホウ監督をはじめ、スー・チー(舒淇)やチャン・チェン(張震)、妻夫木聡らキャストと製作チームが舞台裏の取材エリアに勢揃い。スー・チーはホウ監督初の作品賞獲得となったことに触れ「歴史的な瞬間」だと称えた。さらに「ホウ監督はもっと頑張ります」と茶目っ気たっぷりに話し、会場を笑わせた。妻夫木が受賞の瞬間に立ち会えた喜びを語るとともに「ホウ監督が10年以上撮りたいと言っていたので、もっと多くの作品を作り、もっと多くの賞を取ってほしい」と要望すると、ホウ監督が日本語で「はい、ありがとうございました。どうも」と応じる場面もあった。