前編に続き、台湾のクラフトビールブランドを紹介する。
5.台湾テロワール(黒后風華)
元々ワインを中心に製造していた同社。同社初のビール「豊華[口卑]酒」は同イベントで初めて消費者にお披露目された。彰化産のブドウを原料としたワインが使われており、さわやかなブドウの香りが口の中に広がる。
6. サンバーブルーイング(水鹿精醸)ロンドンやプラハへの留学経験があり、現地でよくビールを飲んでいたと話す丁鼎さんが自分で学んで作ったビールを販売。こだわりは台湾産の原料。雲林産のリュウガンはちみつ、彰化産の小麦麦芽を使用して醸造された「水鹿経典淡艾爾APA」は、ライチやマンゴーなどトロピカルフルーツの香りが楽しめる。
7. プロ12(普洛斯特)他ブランドのOEMも手掛ける同社。プライベートブランドではドイツで技術を習得した醸造師と協力し台湾人の口に合う商品を開発した。
同社のブースで紹介していたHobrew([イ家]釀生活)の「比西里岸」。同商品は台湾初の漢方ハーブビール。フェヌグリークという漢方薬が使われており、プロ12の林晋弘さんによると同漢方薬は豊胸に効くのだとか。ブースにはその噂を聞きつけて試飲に訪れた女性の姿も。8. サーファー酒造(浪人酒造)「シンプルなものが好き」と満面の笑みで語る蔡栄烈さんがイギリス産の麦芽、ホップ、酵母で作る「一波入魂」はごくごくと飲めてしまいそうな軽い口当たり。蔡さんは南部・高雄市で串焼き店を営んでおり、醸造所は自称「台湾最小」。会場ではハンドポンプと呼ばれる台湾では珍しい伝統的なサーバーで自慢のビールを来場者に提供していた。
9. ハードコアブルワリー(哈克醸酒)元々はバンドでエレキギタリストをしていた陳銘徳さんが設立した同ブランドでは、ドイツビールとアメリカビールの2種類を製造。陳さんは「何でも作れる」ことを示したかったと笑みを見せる。醸造技術は台湾で本を見ながら学んだという。白ビールの「夏景乍現」はバナナの香りが漂いながら、ほのかな甘みもあり、スッキリとした味わい。
各ブランドのビールを飲み比べてみると、それぞれ個性が全く違うことがはっきりと分かる。クラフトビール初心者の記者は今回、その奥深さを初めて知った。関係者らが口を揃えて言っていたのは、台湾の消費者のビールに対する間口の広がり。苦味のあるものを好む人が増えてきており、クラフトビールの愛飲者も増加しているという。需要の拡大により、ますます盛り上がっていくであろう台湾のクラフトビール市場。今後の発展にも注目したい。(名切千絵)