(新竹 19日 中央社)食欲の秋だからというわけではないのだが、新竹県北埔郷にある古民家を改造したお茶屋「水井茶堂」を訪問し、レトロな雰囲気の中で客家の伝統的なお茶「擂茶」を味わってきた。
「擂」とは客家語で「すりつぶす」の意味。鉢に入れられた緑茶の茶葉とピーナッツ、白ゴマ、黒ゴマなどを棒ですりつぶし、お湯を注いで飲む、以前は客家の人々が日常的に飲んでいたお茶だ。
すりつぶすのは基本的に客が行うのだが、体力と根気が必要。秋になったとはいえ額には汗がにじむ。それでも自然と笑顔になるのが不思議だ。香ばしいにおいが漂い、粘り気が出てくるとお湯を注ぐ合図。
お好みでポン菓子や砂糖を入れてもいい。ほどよい疲労感に懐かしさを感じさせる素朴な味が嬉しい。ほっと一息つくとはまさにこんな感覚なのだろう。舌だけでなく体全体で感じるおいしさだった。
(齊藤啓介)