2・28事件で市民救った弁護士の旧宅守ろう クラファン第1段階クリア/台湾

【社会】 2020/06/02 15:54 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
湯徳章氏の旧宅=台南市文化資産保護協会提供

湯徳章氏の旧宅=台南市文化資産保護協会提供

(台南中央社)戦後間もない台湾で国民党が市民を弾圧した「2・28事件」で、自らの命を犠牲にして人々を守った弁護士、湯徳章(日本名:坂井徳章)氏の旧宅を記念館として再活用することを目指すクラウドファンディングで、1日までに第1段階の目標額である1000万台湾元(約3600万円)を上回る金額が集まった。現在、第2段階の募金が始まっている。

湯氏は日本統治時代の1907(明治40)年、警察官だった日本人の父親と台湾人の母親の間に生まれた。日本で法律を学び、司法試験に合格した後、郷里の台南に戻って弁護士になった。2・28事件がぼっ発した47年には、治安維持のために奔走したにもかかわらず突如逮捕され、3月13日に公開処刑された。決起しようとしていた台湾人エリートや学生の名簿を焼却し、拷問にも屈しなかったと伝えられている。

台南の市街地に位置する湯氏の旧宅。所有権はすでに他者に譲渡されており、文化財として登録されていないことから、取り壊される可能性を懸念した「台南市文化資産保護協会」が4月、同市文化資産管理処に文化財登録を提案。建物が暫定古跡に認定されたのを受け、5月11日、同協会や地元の有志、湯氏の子孫らがクラウドファンディングを開始した。

クラウドファンディングは、旧宅を購入するための頭金分となる1000万元を募る第1段階と、残金や不動産の信託に必要な1000万元を集める第2段階に分かれる。締め切りは6月11日。今月2日までに1100万元余り(約4000万円)が集まり、第1段階はクリアした。第2段階の目標額にはまだ達していないが、同協会は、最低でも建物が購入できる1600万元(約5800万円)を目指したいとしている。

同協会の黄建龍理事によれば、資金調達が順調であれば、一般開放して文物展などを行う予定。建物は協会の名義で不動産登記され、文化財登録や記念館の設立、運営などについては、同市政府の協力を求めるという。もし締め切りまでに目標達成できなかった場合、寄付金は参加者に返還される。

(楊思瑞/編集:塚越西穂)