白色テロ被害者を主人公にした漫画が刊行「台湾の歴史知って」

【社会】 2020/03/04 12:09 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
蔡焜霖さん(右)=慢工文化提供

蔡焜霖さん(右)=慢工文化提供

(台北中央社)戦後の戒厳令下で横行した白色テロの被害者、蔡焜霖さんを主人公にした漫画「来自清水的孩子(仮訳:清水から来た子ども)」が3日、刊行された。出版を手掛けた慢工文化出版社の黄珮珊社長は、台湾の歴史に自然な形で触れることができるとし、平凡な人物の命の物語を通して台湾をより知ってほしいと語った。

戒厳令下の台湾では、戦後に台湾に渡ってきた国民党政権によって政治活動や言論の自由が厳しく制限され、多くの市民が投獄、処刑された。日本統治時代に中部・台中清水で生まれた蔡さんは、高校生の頃に読書会に出ていたことが非合法組織への参加に当たるとして1950年、懲役10年の判決を言い渡された。翌年には当時水道も電気もなかった離島・緑島に送られ、屋外労働に従事させられた。

漫画は全4冊で、少年期、緑島での10年間に加え、服役を終えた後、子供向け雑誌を創刊し失業した受刑者仲間を救ったことや、白色テロの恐ろしさを伝える取り組みなど、時代の変遷とともに蔡さんが送ってきた人生を伝えている。歴史的建造物や服装など時代考証にも力が注がれた。

作画は絵本作家の周見信さんが手掛けた。4冊それぞれ異なる手法と色彩を用い、当時の様子と蔡さんの心境が伝わる表現を心掛けたという。セリフには当時の台湾を再現するため、台湾語や日本語、中国語が使われており、台湾語の監修には台湾語作家の鄭順聡さんが起用された。

同作はクラウドファンディングサイト「嘖嘖」で購入できる。他言語版への翻訳出版も目指しており、出版社は同サイトで支援を募っている。

(鄭景ブン/編集:楊千慧)