日本統治時代ルーツの市場が絵本に 地元の文化語り継ぐ/台湾

【社会】 2019/11/07 14:30 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
絵本「一家人的(家族の)南門市場」

絵本「一家人的(家族の)南門市場」

(台北中央社)日本統治時代にルーツを持つ北部・台北市の「南門市場」をテーマにした絵本「一家人的(家族の)南門市場」がこのほど出版された。市場の様子が温かみのある絵で再現されており、古い台北っ子の舌に残る記憶を呼び起こすと同時に、次世代にも地元の文化を語り継いでいる。

台北市政府や同市場の資料によれば、同市場の前身は、1907(明治40)年、れんが造りの平屋で開業した青果市場「千歳市場」。後に増設され、昭和初期には台北最大級の規模を誇った。戦後、南門市場と改名された。

政府機関が多く集まる地域にある同市場。戦後は、蒋介石と蒋経国2人の元総統をはじめ、当時の官僚に江蘇・浙江省出身者が多かったことで、江浙料理の食材や総菜を売る店が市場内に増加。主に、国民党とともに中国から移住した「外省人」に故郷の味を提供する場所になっていった。各種ちまきや総菜、乾物、生鮮食品などを扱う店が軒を並べ、行列ができる有名店も多い。

建物は1982年に改築され、翌83年に新ビル内での営業を開始。近年、建て替え計画が再度持ち上がり、先月付近の仮設市場に移転した。ビルが新築され、元の場所での営業が再開されるのは2022年になる見通し。

絵本の著者、葉益青さんは、同市場は台北最古というわけではないが、中国各地の郷土料理や乾物などを専門に扱い、台湾の生活史に彩を添えてきた特別な存在だと説明。家庭の延長線上にあるような、人と人との温かいつながりが魅力で、建て替えられてもここでの物語は終わらないと、同市場への愛着をにじませた。

出版元の聯経出版によると、同書は、同社企画の「世界の市場」シリーズの第1弾。次回は京都の錦市場が絵本化される予定。

(陳政偉/編集:塚越西穂)