台湾「高砂義勇隊」史料4千点超、故人から受け継ぎ整理 歴史ひもとく

【社会】 2019/10/04 12:31 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
出征前に花蓮港神社に参拝する高砂義勇隊の隊員たち=東華大提供

出征前に花蓮港神社に参拝する高砂義勇隊の隊員たち=東華大提供

(花蓮中央社)太平洋戦争時に台湾の先住民によって結成された「高砂義勇隊」に関する膨大な史料が、大学のプロジェクトを通じて系統立てて整理、分類され、歴史の輪郭がより明晰になった。

史料は先住民タロコ族出身で、同隊の隊員とその遺族の権利を主張する「高砂義勇隊・遺族文化協会」の創設者、故・程登山さんが生前に収集したもの。程さんは1930(昭和5)年生まれ。45(同20)年1月から花蓮港北飛行場(現花蓮空港)で、非正規の使役として後方勤務に当たり、そこで終戦を迎えた。戦後は小学校の教師となり、後に校長として後進の育成に励んだ。

程さんが協会を創設したのは2000年末。日本政府が1980年代に台湾人戦没者の遺族に対する補償を決定したものの、自身と同様に正規軍扱いではなかった高砂義勇隊員は多くのケースで補償の対象にならないと知ったのがきっかけだった。程さんは自ら台湾全土の元隊員や遺族を訪ね歩き、名前や日本統治時代の住所、生年月日、出征日、旧部隊における番号、上官の名前などを詳しく調査。従軍証明書や出征前に撮った写真、負傷・戦没記録など関連の文物収集にも取り組んだ。2002年には日本に赴き、関係各所を訪問して一部遺族への補償を実現させた。

程さんが2017年に死去するまでに集めた史料や文物は4000点を上回る。遺族が同年、東華大学(花蓮県)人文社会科学院に寄贈し、王鴻濬院長を中心とする研究チームが史料や写真の整理、分類、消毒、ファイリングを進めていた。

同院は2日、プロジェクトの成果を発表した。程さんが残した史料からは、日本統治時代に従軍した先住民の歴史の縮図が見て取れると話す王院長。全ての史料をクラフト紙の封筒に収め、詳しい解説を添えた程さんの仕事の丁寧さも紹介した。先住民の視点から語られた貴重な口述記録のほかにも、これまで注目されてこなかった大戦下における先住民女性の歴史に触れるものもあるという。王院長は、まず史料のデジタル化を目指し、将来的には一般にも公開して、旧日本軍に動員された先住民の果たした役割や心の声などを伝えたいと意欲を示している。

(張祈/編集:塚越西穂)