日本統治下の台湾を舞台にした作品が大賞 島田荘司推理小説賞

【社会】 2019/10/01 18:00 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
島田荘司さん(左)からトロフィーを贈られた唐嘉邦さん

島田荘司さん(左)からトロフィーを贈られた唐嘉邦さん

(台北中央社)日本統治下の台湾を舞台に鉄道殺人事件を描いた小説「野球倶楽部事件」が、中国語で執筆する若手推理小説家の育成を目的とした「第6回金車・島田荘司推理小説賞」で大賞に選ばれた。授賞式が先月28日、台北市内で行われ、島田荘司さんが作者の唐嘉邦さんにトロフィーを手渡した。

同作は記者出身の唐さんが手掛けた初の作品。台湾の歴史や野球、鉄道などの要素を盛り込み、台湾らしい雰囲気を醸し出している。38歳までに小説を書いた経験はなく、推理小説で賞を取るなんて思いも寄らなかったと話す唐さん。受賞までのプロセスは「まるで驚きに満ちた旅だった」と振り返った。

島田荘司推理小説賞は日本のミステリー作家島田荘司さんの協力を得て、金車グループ傘下の基金会と台湾の出版社が主催。2009年から始まり、6回目となる今年は、台湾の他に中国、香港、英国、オーストラリア、シンガポールなどから53点の応募があった。大賞は、最終選考を通過した3作品の中から島田さんによって選ばれた。

島田さんは「野球~」について、列車の中で起きた殺人事件から日本統治時代に実際に起きた反日運動に誘導するなど、物語が複雑に錯綜し、背景や題材に新鮮味を感じさせたと評した。

最終候補作に入ったその他2作品は、いじめをテーマとした「強弱」と殺人を描いた「無無明」。3作はいずれも9月上旬に中国語の繁体字版が刊行された。大賞受賞作は日本語版や簡体字版でも出版される可能性がある。

(陳政偉/編集:荘麗玲)