牡丹社事件、末裔の和解を描く書籍出版 日本人作家が相互理解訴え/台湾

【社会】 2019/05/31 18:43 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
自著を紹介する平野久美子さん

自著を紹介する平野久美子さん

(屏東 31日 中央社)19世紀に南部・屏東で台湾原住民(先住民)パイワン族と日本人が衝突した「牡丹社事件」に現代の視点から切り込んだ書籍が今月、日本で出版された。作者の平野久美子さんは31日、屏東県内で記者会見を開き、日台の人々が互いに歴史を尊重し、理解し合っていくことの必要性を訴えた。

平野さんが出版したのは「牡丹社事件 マブイの行方 日本と台湾、それぞれの和解」。牡丹社事件の日台の末裔への取材を通じ、和解を巡るドラマを描いた。牡丹社事件は、1871年に台湾南東部に漂着した宮古島島民54人がパイワン族に殺害されたのをきっかけに、1874年に明治政府が台湾に兵を派遣し、パイワン族集落の牡丹社などを制圧した事件。日本では「台湾出兵」とも呼ばれる。

牡丹郷長とパイワン族の代表は2005年、和解を目指して宮古島を訪れ、遺族の代表と面会。2011年には台北で開かれたシンポジウムに双方の遺族が出席した。

平野さんは、2005年にニュースを通じて双方の遺族の和解に関する情報を初めて知ったという。真相を知りたいと資料を少しずつ集め、本格的な行動を開始したのは4年前。牡丹郷や沖縄、長崎、大分などで関連史料を収集し、日台双方の末裔に話を聞いた。

平野さんは、東日本大震災で台湾から寄せられた厚意に日本人は感動し、自身も台湾についてもっと知りたくなったと話す。一方で、忘れられている事件が多くあることを常々申し訳なく思っており、その一つが牡丹社事件だったと明かす。日台が友好関係をさらに強固にするため、それぞれの歴史を互いに尊重し、意見交換によって相手を理解できるよう努力していくことが必要だと語った。

(郭シセン/編集:名切千絵)