客家文学、日本語で出版 女性詩人の作品など/台湾

【社会】 2018/11/16 11:09 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
利玉芳さんの詩集「利玉芳詩選」(右)と甘耀明さんの小説「冬将軍が来た夏」

利玉芳さんの詩集「利玉芳詩選」(右)と甘耀明さんの小説「冬将軍が来た夏」

(台北 16日 中央社)台湾のエスニックグループの一つ、客家を代表する作家の日本語訳版作品計5冊が今年6月、日本で出版された。そのうちの一人、利玉芳さんは、5人の中で唯一の女性詩人だ。今回出版された「利玉芳詩選」は、1970年代から2010年代までに書かれた詩作の中から代表的な作品が収められた。女性ならではの視点で日常生活の一コマをつむぎ出している。中には、客家をテーマにした詩もある。「煙がもうもう」では、ニワトリよりも早く起き、食事の支度や畑仕事に勤しむかつての農村の客家女性の生活とその心境が描き出された。利さんは客家女性の特質について、「勤倹で家事を切り盛り」「夫を敬う」という点を指摘する。

客家女性の生き様を複数の作品の中で描いてきた小説家の李喬さんは、台湾社会ではマイノリティーである客家人、その中でも弱い立場にある客家女性は、このような状況を背景に「強さ」を持ったと語る。客家女性は歴史的に、家庭における労働負担が他のエスニックグループより大きく、母親は家族の中で高い地位を有していたという。

甘耀明さんの小説「冬将軍が来た夏」には、主要人物として客家女性が登場する。客家人の祖母と仲間の老女5人、レイプ事件で傷ついた孫娘によって繰り広げられる波乱万丈のひと夏の物語を描いた作品だ。この祖母は、毅然とした態度で老女たちを引っ張り、自分たちを追い詰める暴力団やレイプ犯に対抗する。まさに客家女性の特質を備えた人物といえるだろう。同作の祖母のセリフには客家語が多用され、客家の特色を感じることができる。

(編集:名切千絵)