台湾のエスニックグループの一つ、客家を代表する作家の日本語訳版作品計5冊が今年6月、日本で出版された。そのうちの一人、利玉芳さんは、5人の中で唯一の女性詩人だ。今回出版された「利玉芳詩選」は、1970年代から2010年代までに書かれた詩作の中から代表的な作品が収められた。女性ならではの視点で日常生活の一コマをつむぎ出している。中には、客家をテーマにした詩もある。「煙がもうもう」では、ニワトリよりも早く起き、食事の支度や畑仕事に勤しむかつての農村の客家女性の生活とその心境が描き出された。利さんは客家女性の特質について、「勤倹で家事を切り盛り」「夫を敬う」という点を指摘する。