崑劇と三味線を融合 日台共同制作の劇、横浜で世界初演 好評得る

【社会】 2018/06/12 12:39 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
横浜能楽堂で9日世界初上演された日台共同制作の新作劇「繍襦夢」

横浜能楽堂で9日世界初上演された日台共同制作の新作劇「繍襦夢」

(東京 12日 中央社)台湾の伝統芸能劇団、国光劇団と横浜能楽堂が共同制作した新作劇「繍襦夢」が9日、横浜能楽堂で世界初上演された。崑劇の古典「繍襦記」を下地に、霊的な存在が主人公となる夢幻能の形式を取り入れ、三味線音楽と融合させた作品。観客の女性の一人は「本当に素晴らしかった。夢の世界のようだった」と作品を称賛した。

「繍襦夢」では、唐の時代を舞台に、書生の鄭元和と妓女の李亜仙の恋物語を描いた古典「繍襦記」の結末をアレンジ。2人の仲は許されず、姿を消した亜仙の未練を断ち切れないまま、元和は死後も形見と生前の記憶の世界をさまようという物語に仕立てた。国光劇団に所属し、国際的に活躍する温宇航さんが主演し、三味線奏者の五代目常磐津文字兵衛さんが音楽監督や作曲、演奏を担当。劇団「シェイクスピア・ワイルドシスターズ・グループ」(莎士比亜的妹妹們的劇団)主宰の王嘉明さんが演出を務めた。

共同制作は、台北駐日経済文化代表処台湾文化センターの朱文清センター長の働き掛けをきっかけに始動。3年前に横浜能楽堂の中村雅之館長が台湾を訪れた際に、国光劇団とのコラボレーションが決まったという。日台の芸術家は昨年から交互に日本、台湾を訪れ、稽古を重ねていた。

国光劇団の張育華団長は中央社の取材に対し、崑曲と能楽がいずれも国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録されていることに触れ、共同制作の過程において「相手の文化を理解しただけでなく、相手の文化の奥深くにある素晴らしさに間近に触れることができた。収穫は本当に大きい」と語る。「今後もこのように深く交流できる機会を持てれば」と意欲を示した。

「繍襦夢」は10日に新潟市でも上演された。16日に愛知県豊田市、17日には再び横浜能楽堂で公演をした後、9月8、9日に台中国家歌劇院中劇場(台中市)、同14~16日に台湾戯曲センター大ホール(台北市)で上演される。

(楊明珠/編集:名切千絵)