台湾の著名スポーツキャスター、スイスで自死 台湾での安楽死合法化願う

【社会】 2018/06/08 14:33 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
傅達仁さん

傅達仁さん

(台北 8日 中央社)元バスケットボール台湾代表で、スポーツキャスターとして知られる傅達仁さんが7日、スイスの自殺ほう助機関で命を絶った。85歳。傅さんは膵臓がんを患っていた。台湾では安楽死が認められていないため、合法化を推進する活動も行っていた。

傅さんは1933年、中国大陸・山東省生まれ。中華民国政府の移転に伴って台湾に移った後、中学時代からバスケットボールで頭角を現し、後に台湾代表に上り詰めた。引退後はコーチを務めたほか、テレビ局のスポーツキャスターとして活躍。分かりやすく、親しみやすい実況が持ち味で、「陽春全壘打」(ソロホームラン)や「蓋火鍋」(バスケットのブロックショット)などユニークな言い回しを編み出し、スポーツニュースの新たなスタイルを切り開いた。台湾スポーツ界の発展にも寄与した。

2016年に膵臓がんが発覚。安楽死を希望し、蔡英文総統に安楽死法案を立法院(国会)で通過させるよう求める意見書を提出するなど合法化に向けた働き掛けを行っていた。

台湾では2000年に終末期の患者の尊厳死を認める「ホスピス緩和医療条例」(安寧緩和医療条例)が公布、施行された。衛生福利部(衛生省)によれば、国民健康保険カード(健保カード)にホスピス緩和医療の意思表示を登録している人の数は54万人を超えるなど、尊厳死を受け入れる考えが広まっている。

来年1月には末期患者だけでなく、回復不可能な昏睡状態や持続的植物状態、極めて重度な認知症などの患者を対象に加えた「患者自主権法」(病人自主権利法)が施行され、患者の医療の自主性や尊厳死の権益がより広く保障されるようになる。

(李晋緯、張茗喧/編集:名切千絵)