日本人像破壊容疑の元市議に批判噴出 対立激化に不安の声も/台湾

【社会】 2017/04/19 16:16
嘉南農田水利会提供

嘉南農田水利会提供

(台南 19日 中央社)台南市の烏山頭ダムで、日本統治時代にダム建設を指導した八田与一の銅像の頭部が切断された事件。犯行を認めている、両岸(台湾と中国大陸)統一を主張する元台北市議の男への批判が相次いでいる。ただ、今年2月以降、台湾各地で蒋介石像の損壊が頻発していることもあり、社会の対立激化を懸念する声も出ている。

今回の事件を受けて、ダム関係者は17日、「八田はプロの土木技師」だと言及。純粋な技術者の功績をたたえて建てられた銅像が「こんな仕打ちを受ける筋合いはない」とし、犯人に賠償を求める考えを示した。

また、18日には、元市議の男が銅像を壊す写真がフェイスブックに投稿され、そのページには、「切るのは誰の首であろうと、破壊行為で人目を引こうとしたのはゲス過ぎる」など、非難のコメントが多数寄せられている。

一方、銅像破壊の背景には、「相次ぐ蒋介石像への悪質ないたずら」や、「昨年5月の蔡英文政権発足後、強まる脱蒋介石化」があるとの見方もあり、一部の市民や政治家からは、社会の分断や対立の深刻化を懸念する声が上がっている。

医師の施景中さんは17日、「一番切るべきものは、過激な民族意識かもしれない」と述べた。施さんの先祖、施世榜は清の時代にかんがい施設の「八堡シュウ」(彰化県)を造った。(シュウ=土へんに川)

台中市の林佳龍市長も18日、「台湾の素晴らしいところは、多元性との共栄にある」とした上で、日本統治時代に始まった市内のインフラ整備などに言及。それらを全て文化の一部、社会の共同資産とする寛容さを持ってほしいと呼び掛けた。

(楊思瑞、趙麗妍/編集:羅友辰)