蔡総統の自著翻訳…前原志保さん「日本を考えるヒントになれば」/台湾

【社会】 2017/01/29 15:42文字サイズ:字級縮小字級放大
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蔡総統の自著翻訳…前原志保さん「日本を考えるヒントになれば」/台湾

(台北 29日 中央社)カナダの大学を卒業し、英国の大学院で修士号を取った。留学中に知り合った台湾出身の友人らと話すうち、複雑なアイデンティティーに興味を抱き、台湾大学国家発展研究所で李登輝元総統と台湾人のアイデンティティーを研究し、博士号を取得。現在は九州大学韓国研究センター学術協力研究員。

昨年1月の総統選挙で民進党の蔡英文主席が当選。ほどなくして白水社が蔡氏の自著の日本語版出版を計画すると、台湾に詳しい専門家らの推薦で前原さんに翻訳者として白羽の矢が立った。ただ、総統選まで約4年の歩みをつづった「蔡英文 新時代の台湾へ」の出版が正式に決まったのは同年4月1日。5月20日には総統就任式が行われるため、その日に全国の書店に並ばせることが目標となった。

ゴールデンウィークを挟む関係で、全ての作業が時間との戦いだった。翻訳者に割り当てられた作業日数はわずか半月。以前から親しくしていた台湾の政治に詳しい阿部由理香さん、篠原翔吾さん、津村あおいさんに声をかけ、前原さんを監訳とした上で、手分けして取り組んだ。全員仕事の合間を縫い、夜遅くまでの作業が連日続いたほか、熊本地震の時には、自宅のある福岡で揺れを感じながら翻訳を続けたと前原さんは振り返る。

そんな中で全員が心がけたのは「高校生が読んでも大丈夫な本にすること」。台湾と中国大陸の関係を意味する「両岸」という言葉をどう説明し解説するかなど、台湾ではごくありふれた言葉をいかに日本人の読者にわかりやすく表現するか、常に連絡を取り合いながら細心の注意を払った。

前原さんは「台湾に関することについて、ステレオタイプの見方をする人がいる。それに対して、そうじゃないっていう一面が、この本には書かれている。それを微力ながら表現できた」と語る。また、「もしかすると日本よりも台湾の方が政治は進んでいるんじゃないかと感じた」とし、「日本を考える何かのヒントになれば」とも。

2月上旬には再び翻訳を手がけた新刊「蔡英文自伝 台湾初の女性総統が歩んだ道」(蔡英文著、劉永毅構成)が白水社から出版される。政治と関係のない一般家庭に生まれた蔡氏が政治の舞台に上りつめる過程が書かれており、前原さんは、「私たち一般人が政治に対して無力ではなく、きっと何かできることがあるはずということを感じ取ってもらいたい」と話している。

(齊藤啓介)

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