中国出張の日本人男性、トランクを拾ってくれた台湾男性に2年越しの「謝謝」

【社会】 2013/07/11 17:42 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
中国出張の日本人男性、トランクを拾ってくれた台湾男性に2年越しの「謝謝」

(台北 11日 中央社)2年前、中国大陸・上海でうっかり置き忘れたトランクがなくなることなく、すぐに持ち主の日本人ビジネスマンのところに戻って来た。トランクの中には札束や重要書類が入っていて大変なことになるところだった。拾い主は同じく大陸に出張していた台湾の闕(けつ)福栄さん。落とし主の日本人はこの時のお礼をまだちゃんと言っていなかったとして先日わざわざ台湾を訪れ、闕さんに感謝の言葉を伝えた。聯合報が伝えた。

台湾・新竹市在住の闕さんは、おととし出張先の上海のホテルで朝食をすませると、隣の椅子に持ち主のわからないトランクが置かれたままなのに気がついた。そのまま10分ほど待ってみたが誰も現れる様子はない。中身は大量の人民元に米ドル、それに契約書だった。そのうち仕事先に出るため呼んであったタクシーが到着。そこで、闕さんはトランクが簡単に開けられ手がつけられたりしないようビニール袋に入れて口を縛り、「中身は私も確認してあるから」と念を押し、自分の連絡先とともにホテルのフロントに預けた。

それからほどなくして落とし主から無事トランクを手にしたとの電話が入り、闕さんはようやくほっとした。落とし主は日本人の鍛(かじ)邦雄さん。翌日、「重要書類が見つかって非常に助かった。ぜひしっかりお礼がしたい」と申し出た。しかし、闕さんは「やるべきことをやったまで。お礼をしていただくほどのことではありません」と断った。

あれから2年。やはりお礼がしたいと突然届いたまさかの電子メールに闕さんは驚き喜んだ。先月初め、通訳に伴われ台湾の空港に降り立った鍛さんはそのまま新竹へ。闕さんの手を固く握りしめ、「謝謝[イ尓]」(ありがとうございました)。言葉は通じなくても笑顔が心をつなぐ。鍛さんはこの2年間ずっと恩人の闕さんに何もお礼をしていなかったことを心苦しく思い、夜など思い出しては眠れないことも。このままではいけないと来台を思い立った。鍛さんは特別に選んだ茶器を贈り、闕さんは鍛さんを新竹市内の城隍廟やショッピングモールに案内し楽しいひと時を過ごした。

2年前の上海での出来事について、闕さんは自分も海外出張時に財布や携帯をなくして手元に戻って来なかった経験があり、「物をなくして困っている人のことを考えると、人の物を自分の物にしたりなど絶対にできない」と語った。「台湾の人々は本当にすばらしい」と鍛さん。今度はぜひ闕さんに日本に来てもらい、あちこち案内したいと語っていた。当たり前のようでなかなかできない行いが、またも日本と台湾のきずなを強くした。

(編集:谷口一康)