台湾、SARSの経験生かす 「WHOは今何ができるのか」 陳副総統単独取材

【政治】 2020/03/25 15:37 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
陳副総統

陳副総統

(台北中央社)陳建仁副総統は24日、中央社の単独取材に応じ、世界で感染が拡大する新型コロナウイルスを巡る世界保健機関(WHO)の対応について「WHOは世界のために今何ができるのか。燃え広がってしまったのだから、too late(遅すぎる)」と述べ、行動の遅さを改めて批判した。

陳副総統は疫学の専門家で、2003年に台湾で重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際には行政院(内閣)衛生署(現在の衛生福利部の前身)署長に就任し、感染拡大の迅速な食い止めに成功した。

▽ 世界で注目浴びる台湾のコロナ対策 SARSの経験生きる

台湾の新型コロナウイルスへの対応は世界各国から称賛されている。陳副総統は「台湾が他の国より少しだけうまくやれているのは、主にSARSの経験があったからだ」と話す。

衛生福利部疾病管制署の統計によると、台湾では2003年2月から6月にかけてSARS感染者が347人確認された。4月中旬に大規模な院内感染が発生したのを皮切りに院内感染が相次いだが、1カ月余りで終息した。

陳副総統は、台湾がSARS終息後に実施した取り組みを紹介。防疫に関する組織構造の強化や人材育成を行ったほか、感染症防止法を改正し、違反時の罰則や虚偽情報の拡散、防疫物資の徴収などに関する規定を設けたことを説明した。

新興感染症の感染防止・治療に重要なのは「国際的な感染症情報の収集」だと陳副総統は指摘する。台湾はSARS後に専門部署を設置した。台湾はWHOのメンバーではないため、情報収集には困難があるとし、「これも台湾がWHOの一員になる必要がある理由だ」と訴えた。

「どんな試練の中にも希望の光はある」と述べ、「われわれには経験がある。喜んでみなさんを助けたい」と世界への貢献に意欲を示した。

▽ 対応不備でもWHOの貢献は消えない

WHOの対応の遅さに対し、批判を繰り返してきた陳副総統。WHOは2009年の新型インフルエンザ流行時には「公衆衛生上の緊急事態」を症例がわずか3カ国で確認された段階で宣言していた一方、今回は世界ですでに8000人余りの感染者が確認されてからやっと緊急事態を宣言したことに触れ、「なぜもっと早く出し、全世界の人々に警戒を促さなかったのか」と憤りを示す。さらに、今月11日に「パンデミック」(世界的大流行)との見解が示されたことを念頭に、「なぜ大流行と言うのがこれほど遅くなったのか」と首をかしげた。

一方で、SARS期間にWHOが重要な役割を果たしたことに触れ、「今回の対応に不備があったからといって、WHOの貢献は完全に帳消しにはならない」と強調する。今回の経験があったからこそ、全世界のWHOへの期待が高まり、WHOの改造の重要性が認識されたとの見解を示した。

陳副総統は、新型コロナウイルスの感染状況が収束に向かうには「少なくともあと2カ月はかかる」とし、世界での流行がピークに達するのは5月末ごろだと推測する。今年の秋か冬まで流行が続くかは、各国がどれほど努力するかにかかっていると述べた。

(温貴香、葉素萍、顧セン/編集:名切千絵)