台湾の総統選 主要都市の情勢(3)台北 無党派層多数 議会選も焦点

【政治】 2019/12/26 12:23 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
超高層ビル「台北101」周辺=資料写真

超高層ビル「台北101」周辺=資料写真

(台北中央社)「政党でなく人で選ぶ」――台北市は無党派層が多いことで知られる。総統選では再選を目指す与党・民進党の蔡英文総統が同市でも優位に立つが、立法委員(国会議員)選では最大野党・国民党に押されている。蔡氏が勝利しても、議会で過半数を獲得できない「ねじれ」となるのを民進党は阻止したい考えで、立法委員選にも力を注ぐ。

▽つかみどころない台北市民 結果は予測困難

来年1月11日に投開票される総統・立法委員選。政治経済の中心である台北で生活する都市住民の投票行動はつかみどころがなく、結果の予測は困難だ。伝統的には国民党への支持が民進党より強いとされる。2016年の前回選挙で蔡氏が国民党の朱立倫氏に勝利した際、同市では得票率でおよそ15ポイントの差をつけたが、同日実施された立法委員選では8選挙区中5選挙区で国民党の候補が当選した。

だが、国民党も気を抜いてはいない。台北支部の黄呂錦茹主任委員によれば、同市第3区に立候補している期待の現職、蒋萬安氏が支持率でリードしているものの、支持者のおよそ17%が総統選では同党の候補、韓国瑜氏ではなく蔡氏に投票する意向を示しているという。

▽「庶民派」売りの韓氏、「エリート青」には不人気

韓氏はユーモラスな発言や庶民派のイメージで支持を集め、昨年11月、高雄市長に初当選した。だが、台北の国民党支持者に多いいわゆる「エリート青」(青は国民党のシンボルカラー)には比較的不人気だといわれる。

これについて黄氏は、軍人や公務員が多い台北・文山区などでは韓氏が訪れるたびに熱い歓迎を受けているとし、韓氏への支持が数字に反映されていないだけだと指摘。地道な選挙活動を続けているといい、「エリート青」も選挙までには団結するはずだとの見方を示した。

▽伝統的な選挙戦好まない都会派 新興政党が活路開く

ただ、都会に暮らす人々は伝統的な選挙活動を好まない傾向がある。騒音や交通への影響を嫌うため、党職員や支持者を総動員して行うような「陸戦」は歓迎されない。メディアやネットを使った「空中戦」が繰り広げられることになるが、ここで頭角を現しているのが新興政党だ。

民進党員は、2014年のひまわり学生運動から派生した時代力量や、総統選に立候補している宋楚瑜氏の親民党などは空中戦に秀でた都市型の政党だと分析。これに加え、ネットを巧みに活用し、若者を中心に人気を集める柯文哲台北市長が8月に立ち上げた台湾民衆党も国会進出を狙っており、比例区の投票先に独自の理念を掲げる小政党を選ぶ人が台北には少なくないとみられる。

▽蔡氏の人気、議会選につなげられるかが民進党の課題

争いが激しさを増す中で、蔡総統への支持をいかに議会選につなげるかが民進党の課題となっている。「国会で過半数を達成できなければ、改革も半分しか残らない」。11月中旬、市内の選対本部立ち上げの際の蔡氏の演説は、約半分が立法委員選の支持を呼び掛ける内容だった。

前出の民進党員は、台北市は同党にとって相対的に厳しい地域だと指摘。出遅れた新人候補も数人いるが、蔡総統と共に各地を回ることで知名度アップを目指すという。

(顧セン/編集:楊千慧)