台湾の総統選 主要都市の情勢(1)高雄 「韓流」の行方が勝敗左右か

【政治】 2019/12/24 17:38 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
高雄での選挙運動にいそしむ国民党の韓氏(左写真右2)と民進党の蔡氏(右写真右手前)

高雄での選挙運動にいそしむ国民党の韓氏(左写真右2)と民進党の蔡氏(右写真右手前)

(高雄中央社)次期総統選が来年1月11日に投開票される。立候補しているのは、再選を目指す民進党の蔡英文総統、最大野党・国民党の韓国瑜高雄市長、親民党の宋楚瑜主席(党首)の3氏。最終盤の主要都市の情勢を複数回に分けて見ていく。今回は韓氏のお膝元で、人口3位の南部・高雄市の情勢を分析する。

▽民進党、「韓流」低迷が突破口に 票の奪い返し狙う

もともとは民進党の牙城とされてきた高雄市。1998年から20年にわたり、民進党所属の市長が市政を担ってきた。だが、昨年11月の市長選で国民党の韓氏が「韓流旋風」を巻き起こし、54%近い得票率で勝利。20年ぶりに国民党市政に返り咲いた。

しかし、韓氏は市長就任から半年足らずで、総統選参戦を正式に表明。韓氏は“バックレ市長”の汚名を着せられることになり、民進党にとってはこれが総統選の突破口となった。蔡陣営の幹部を務める民進党の康裕成高雄市議は「光復高雄(高雄を取り戻す)、台湾は勝つ」が迷う余地のない目標だと語る。民進党が目指すのは100万票を超える得票だ。これは2016年の総統選で蔡氏が獲得した95万票余りをさらに上回る。

「100万票」という数字は、前回の市長選で韓氏に敗北した陳其邁氏が獲得した74万票余りの土台の上に、さらに25万票超を上乗せできれば達成される。民進党の黄文益市議は、蔡総統が推し進めた年金改革や完全週休2日制、同性婚合法化などが得票に影響を与える可能性を指摘する一方、市民の声を聞いたところ「韓氏を支持する声は小さくなっている」と感じたと話す。韓氏の支持者が輪を広げていないことに加え、香港の大規模デモも助勢となり、昨年の市長選で韓氏に移った票が民進党に再び戻ってくるとの見方を示した。

▽国民党、韓氏の実績に自信 固定票にも期待

「韓流」の盛り下がりに関連し、総統選での韓氏の得票数は昨年の市長選で獲得した89万票から「2割以上減少する」と予測する声もある。これに対し、国民党の曽俊傑市議は異論を唱える。曽氏は、今年の高雄市の投資誘致額が前年比90%増の2100億台湾元(約7600億円)余りに上ったことや、デング熱対策や道路整備、治水施設の整備などでの成果を挙げ、韓氏の市長としての実績に自信を見せた。さらに、国民党寄りの客家人約20万人や戦後に国民党と共に中国大陸から台湾にやって来た人が暮らす「眷村」の住民約4万人の固定票が、韓氏が高雄での得票を積み上げるのに有利に働くと分析した。

▽「韓流」の動向、投票率、親民党の票の伸びが鍵に

民進党、国民党の各陣営の選挙戦略からみると、「韓流」が大きな変数になるといえる。韓流の熱が冷めるのか、冷めるとすればその程度はどれほどなのか、はたまた投票日までに韓流が再び盛り上がるのか―これはいずれも選挙の行方を左右する。「投票率」もまた、もう一つの変数だ。高雄市の投票率は2016年の総統選が67.64%、昨年の市長選が73.54%だった。両陣営が組織票の動員に成功するかは観察に値する。最後に、親民党の得票数が2016年の約16万票を超えるのかにも注目したい。民進党・国民党の2大政党に割って入る親民党は、両党に不満を持つ有権者の票の取り込みを目指しており、親民党の得票の行方は、民進党、国民党の票の伸びに間接的に影響すると考えられている。

(王淑芬/編集:名切千絵)