プラハ市、台北市と姉妹都市締結へ 市長、台湾との友好関係促進に尽力

【政治】 2019/12/13 15:35 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
柯文哲台北市長(右)から名誉市民状を贈られるプラハ市長のズデニェク・フジブ氏=2019年3月28日、台北

柯文哲台北市長(右)から名誉市民状を贈られるプラハ市長のズデニェク・フジブ氏=2019年3月28日、台北

(ベルリン中央社)チェコの首都プラハ市の議会は12日、台北市と姉妹都市関係を結ぶ提案を全会一致で可決した。来年1月に柯文哲台北市長がプラハを訪問する際に調印する予定。プラハ市は昨年10月に北京市との姉妹都市関係を解消するなど、中国と距離を置き、台湾との友好関係を重視する姿勢をとっている。その中心人物は、昨年末に市長に就任したズデニェク・フジブ氏だ。自らを「台湾ファン」と名乗るフジブ市長は、ミロシュ・ゼマン大統領がとる親中政策に真っ向から挑んでいる。

フジブ市長は学生時代に台湾で実習を行ったことがあり、台湾に良い印象を抱いた。今年3月には市長として台湾を訪れ、蔡英文総統と面会し、姉妹都市締結に向けて感触を確かめた。

フジブ市長が台湾との友好関係を促進する背景の一つには、近年のチェコ社会における中国への不満がある。中国の習近平氏は2016年に初めてプラハを訪れた際、チェコへの大規模投資を約束したが、その多くは現在に至るまで実現されていない。中国に対する疑念を抱く社会の雰囲気を捉え、プラハ市長は今年1月、北京市との姉妹都市協定に盛り込まれていた「一つの中国」に関する条項の廃止を発表。チベット亡命政府のロブサン・センゲ首相にも市政府で自発的に会った。

もう一つの背景となっているのは、チェコの国民が右翼ポピュリズムに苦しめられている現状だ。チェコには1989年の「ビロード革命」で共産党の独裁体制を倒した歴史があり、民主主義や人権を重視してきた。だが、ゼマン大統領やバビシュ首相はビロード革命が残した精神遺産を引き継ごうとはせず、故バツラフ・ハベル元大統領が掲げた人道主義や親欧路線に背いている。

フジブ市長の行動は中国の報復を招いた。今年3月にチェコ産業貿易省が外国使節を集めて開いた年次会議で、中華民国(台湾)の駐チェコ代表(大使に相当)は中国の圧力によって退席を余儀なくされた。翌4月には、プラハ・フィルハーモニア管弦楽団などの中国での公演が中国側によって中止された。

しかし、中国の報復はかえって逆効果になった。会議を退席させられた駐チェコ代表は現地大手紙からインタビューを受け、台湾の存在感を高めることにつながった。また、フジブ市長とゼマン大統領の対立はメディアに大きく取り上げられ、台湾の立場に同情が集まっただけでなく、チェコ以外の海外メディアからも関心が寄せられた。

「人権はパンダより重要」だとし、北京市が姉妹都市締結時に約束しながらも一向に届かなかったパンダを諦めてでも人権を守りたいとの意志を貫くフジブ市長。今年3月の訪台時には、台北市に対し、ミミセンザンコウの贈与を要望した。もしかしたら、欧州の人々にとっては珍しいミミセンザンコウがパンダの代わりにプラハ動物園にやってくる日は近いかもしれない。

(林育立/編集:名切千絵)