脱原発目指す台湾、天然ガス受け入れ基地を桃園に建設へ

【政治】 2018/10/09 20:05 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
天然ガス受け入れ基地の建設が予定される桃園市の沿岸部

天然ガス受け入れ基地の建設が予定される桃園市の沿岸部

(台北 9日 中央社)2025年の脱原発を目指し、代替エネルギーの導入を急ぐ蔡英文政権。行政院(内閣)環境保護署は8日、新たな天然ガスの受け入れ基地の建設可否に関する会議を召集し、賛成多数で建設可能とした。だが、建設予定地となる北部・桃園市の沿岸部一帯には海の生物が多く生息する藻場があり、環境保護団体は基地の建設が環境に影響を及ぼすとして反発している。

政府は2025年までに脱原発を目指すほか、二酸化炭素を多く排出する石炭火力の発電比率を下げ、再生可能エネルギーによる発電を20%、天然ガスを使った火力発電を50%に引き上げる目標を打ち出した。だが、電力の安定供給への課題は依然として残されている。昨年8月中旬には、台湾の広範囲に及ぶ大停電が発生。北部の重要な火力発電所、大潭発電所(桃園市)で燃料となる天然ガスの供給が石油大手の国営企業、台湾中油の誤操作で一時中断されたことが原因だった。

大潭発電所への天然ガスの安定供給を図るため、台湾中油は桃園市の沿岸部に天然ガスの受け入れ基地の建設を計画。昨年5月、環境保護署に建設案の検討を提案した。だが、藻場の生態系への影響を懸念した環境保護団体が反対。台湾中油は開発範囲の縮小など計画修正を図るも、協議は1年余りにわたって平行線をたどった。

計画推進を目指す政府側と環境保護団体による攻防が続く中、環境保護署は8日、会議を召集した。流会を狙った環境保護派の欠席が相次いだものの、中央省庁などの代表者が出席したため、定足数の10人を満たし、会議は決行。7人の賛成多数により基地は建設可能とされた。開発範囲は当初の232ヘクタールから23ヘクタールに縮小された。

だが、環境保護団体は、台湾中油や行政院は各界の批判や懸念を無視し、採決を強行したと主張。建設地を北部・新北市の台北港や林口港に変更することを専門家らが提案していたにもかかわらず、全く考慮されなかったと訴えた。

頼清徳行政院長(首相)は9日、経済発展と環境保護のバランスの重要性は社会の共通認識だとしつつ、基地の建設はエネルギー構造の転換において非常に重要となると説明。開発範囲は当初より大幅に縮小されたとし、環境保護署の会議での意見を十分に尊重したとの見解を示した。

(呉欣紜、林孟汝、温貴香/編集:楊千慧)