台湾出身の李琴峰さんの小説、芥川賞候補作に 「多くの人に読んでほしい」

【社会】 2019/06/17 17:27 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
李琴峰さん=資料写真

李琴峰さん=資料写真

(台北 17日 中央社)台湾出身の作家、李琴峰さんの小説「五つ数えれば三日月が」が第161回芥川賞にノミネートされた。候補作が17日、発表された。李さんは中央社のメール取材に喜びを明かし、「受賞の有無に関わらず、より多くの人にこの越境する小説を読んでもらえれば」と期待を寄せた。

同作は日本で働く同性愛者の台湾人女性と、結婚で台湾に移住した日本人女性が平成最後の夏に5年ぶりに再会するという物語。李さんによると、同作では2人が一緒に過ごす10時間を通じて、同性愛者として身分や国籍、言語のアイデンティティーにおける問題と苦境に対する考えを映し出したという。

1989年に台湾で生まれた李さんは15歳から日本語を学び始め、2013年に日本の大学院に留学。修士号取得後は日本で働き、2017年には日本語で執筆したデビュー作「独り舞」で第60回群像新人文学賞優秀作を受賞した。「独り舞」は性的少数者の女性を主人公に、彼女の葛藤と孤独を描いた。

ノミネートされた理由について李さんは、自身がこれまで一貫して扱ってきた同性愛や国籍、言語への問題意識が注目されたからではないかとしつつ、最も重要な要因は「もちろん技術の向上」と付け加えた。

台湾出身の作家が芥川賞候補に選ばれるのは、第157回の温又柔さん以来2年ぶり。選考会は来月17日に東京で行われる。

(陳政偉/編集:名切千絵)