台湾の有名パン職人が「92年コンセンサス」支持表明 蔡総統「政治的抑圧」

【政治】 2018/12/11 14:00 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
台湾の有名パン職人、呉宝春さん

台湾の有名パン職人、呉宝春さん

(台北 11日 中央社)中国に初出店する台湾の有名パン職人、呉宝春さんに、中国のネットユーザーから「台湾独立支持派」として矛先が向けられたのを受け、呉さんは10日、フェイスブックで声明を発表し、一つの中国原則を前提とした「92年コンセンサス」の支持を表明した。これに関して蔡英文総統は11日、「これは政治的抑圧」と中国を非難し、「台湾人はこんなやり方を受け入れられない。世界も同じだ」と述べた。

呉さんは近日、自身が経営するパン屋「呉宝春麦方店」の中国1号店を上海に正式オープンさせる。だが、2016年のインタビューで「中国には13億人の市場があるが、全世界は70億人余りだ。目を向けるのは中国だけではない」と語っていたことが中国のネットユーザーに掘り起こされ、ネット上で呉さんの店への評価が故意に落とされるなどの攻撃を受けていた。

声明は高雄店の公式フェイスブックに投稿された。呉さんは自身を「中国台湾で生まれたパン職人」だとし、「中国人であることは私の誇りで、『両岸(台湾と中国)は一つの家族』というのは決して変わらない私の態度」と説明。今回の件について謝罪した上で、「92年コンセンサスを支持する」と表明し、中国側が今年2月末に打ち出した対台湾優遇措置に呼応して両岸の経済、貿易交流に尽力したい考えを示した。また、中国進出は自身とスタッフの夢であり、1年余りをかけて準備してきたことを明かした。

蔡総統は11日、総統府で取材陣に対し、「これは実は深刻なことだ」と言及。台湾が直面している現象を反映しているとし、中国が政治を利用して経済や貿易活動をねじ曲げるということは人々の毎日の生活に存在していると述べた。ある人が脅迫の下でほとんど標準化された言葉を話すのを見るうちに、台湾人はこれが政治的抑圧であると理解していると語った上で、これらの脅迫は両岸関係を後退させる原因になっているとし、中国に対し、政治的前提を取り除き、正常で健康的な両岸交流を可能にするよう求めた。

呉さんは2010年にフランス・パリで行われたパンの国際コンクールで優勝したのを機に一躍有名になった。呉さんの半生は映画化もされ、2013年に「27℃世界一のパン」(世界第一麦方)として公開された。現在は高雄、台北、台中に計4店舗を展開している。

(テキ思嘉/編集:名切千絵)