文化の黒潮 台湾―日本<1>福原愛さん 卓球の縁で日台の文化結ぶ

【社会】 2018/10/01 18:32 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
福原愛さん

福原愛さん

(台北 1日 中央社)4歳の時にテレビ番組に出演したのをきっかけに、その愛くるしさから「卓球の愛ちゃん」として一躍人気者になった福原愛さん。その後も卓球界で活躍を続け、2012年のロンドン五輪団体女子では、日本卓球史上初の銀メダル獲得に貢献した。人生の転機が訪れたのは2016年、28歳の時。10代から知り合いだった台湾の卓球選手、江宏傑さんと結婚し、2017年に第1子女児を出産。新たに妻、嫁、母親の肩書が加わった。

福原さんは江さんとの結婚を通じて、日台の“文化大使”ともいえる役割を担うようになった。福原さんが出産後に台湾の産後ケアセンター「月子中心」に入ると、日本のメディアでは月子中心が取り上げられ、ショーロンポー(小籠包)やタピオカミルクティーといった定番のものとは異なる、より多元的な台湾文化が日本に伝えられた。また、昨年の春の園遊会に招待された際には、皇后さまから東日本大震災への台湾の援助に関し、台湾の人々に礼を伝えるよう声をかけられるなど、日本と台湾を結ぶ存在になった。

▽福原さんが生活の中で触れたお気に入りの台湾文化

中央社がインタビューをしたのは、9月24日の中秋節(中秋の名月)の前。福原さんは秋を感じられるようになった日本から、まだまだ暑い南部・高雄に数日前に戻ってきたばかりで、到着した途端にあまりの暑さに、履いていたブーツを履き替えてしまったと明かす。高雄は一年中かき氷が食べられる気候のため、秋冬の衣服は日本に置いてきているが、小物などで日本の四季を感じているという。台湾に溶け込んだ福原さんに、自身が生活の中で触れた、日本人に伝えたい最も好きな台湾文化を紹介してもらった。

<月子中心>

小さい頃から中国で卓球をしてきた福原さんは、以前から「坐月子」(産後の肥立ち)という出産後の伝統的風習については知っていたものの、「自分がするなんで思ってもみませんでした」と語る。「お腹に赤ちゃんがいるのが分かると、夫や義父母が『坐月子を予約しないと』と言っていて、その時初めて月子中心の存在を知りました」。

産後1カ月間を月子中心で過ごし、心身を休ませた福原さん。出産直後は感情の起伏が大きくなるが、スタッフが毎日心のケアをしてくれたり、新米の父母のために赤ちゃんの世話の仕方を教えてくれたりしたといい、「もし月子中心がなかったら、産後はきっと泣きたくなっていたでしょう」と月子中心のありがたさを紹介した。

<タピオカミルクティー>

福原さんが最も好きな台湾グルメは、タピオカミルクティーにほかならない。「もしタピオカミルクティーの魅力を語ってと言われたら、きょうのインタビューはずっとこの話題を語ることになると思います」と茶目っ気たっぷりに語る。初めて飲んだのは実は日本。台湾に来てから初めて「こんなに多くの味があるのか」と知ったという。

1日に飲んだ最高記録は5杯。「午前に2杯、午後に2杯、夜に1杯。水みたいに飲んでいました。本当に美味しいので」。好きな理由を聞いてみると「飽きない。飲んだらまた飲みたくなる」と、まるで恋人について形容するかのような言葉が返ってきた。「カロリーがゼロだったらいいのに」とタピオカミルクティーのカロリーの高さへの悩みもポツリ。日本でタピオカミルクティーの店を開き、パイナップルケーキや台湾の小物なども一緒に売りたいと考えたこともあるといい、「本当に開きたい。誰か私に紹介してください」と笑った。

<ナイトマーケット>

多くの観光客と同じように、福原さんにとってもナイトマーケット(夜市)は忘れられない場所だ。夫の江さんに初めて連れてきてもらった台湾の観光名所こそがナイトマーケットだったという。それは初めて母親に内緒でこっそり江さんに会いに台湾に来た時のこと。江さんの練習が終わってから南部・台南の花園夜市に案内され、ステーキや台湾風フライドチキン(鶏排)、モツとカキの麺線、内蔵スープ(下水湯)、牛肉スープなどを食べ尽くしたという。

インタビューには江さんと娘のあいらちゃんも同席。江さんによると、あいらちゃんが福原さんのインタビューに参加するのは初めてだったという。

(鄭景ブン/編集:名切千絵)



近年、台湾のブランドが日本に相次いで進出したり、台湾文化を紹介するイベントが日本で度々開催されたりするなど、日台の文化交流はますます盛んになっている。「文化の黒潮 台湾―日本」と題し、台湾と日本の文化の架け橋として活躍する各界の日本人を5回にわたって紹介していく。