崎陽軒、台湾に海外1号店 出店は「全てが挑戦」 横浜の食文化届ける

【経済】 2020/08/07 19:41 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
7日台北駅にオープンした崎陽軒の店舗

7日台北駅にオープンした崎陽軒の店舗

(台北中央社)横浜名物「シウマイ」などを手掛ける崎陽軒(横浜市)は7日、台北市の台北駅に海外1号店をオープンさせた。台湾ではあまりなじみがない「シウマイ弁当」を、現地の食習慣に合わせて提供することで、台湾市場への浸透を図る。現地法人、台湾崎陽軒の粟飯原昌夫総経理(社長)は取材に対し、今回の出店は「全てが挑戦」だと述べ、横浜の観光誘致にも貢献したい考えを示した。

崎陽軒は日本の店舗では「冷めてもおいしい」にこだわり、常温で弁当を販売しているが、台湾店舗では、冷めた弁当を好まない台湾の食習慣に合わせ、温かい状態で提供する。粟飯原氏によれば、同社は2017年以降、台湾で催事に出展したことが複数回あったが、当時は日本と同様に冷めた状態で売っていたため、現地の消費者にあまり受け入れられなかった。「失敗の経験が今回につながった」と粟飯原氏は率直に語る。台湾ではシウマイとご飯を一緒に食べる文化もない。これについて粟飯原氏は、今回の出店を通じて横浜の食文化とも言えるシウマイとその食べ方を「台湾の方に知ってもらいたい」と期待を寄せた。

「日本と同じものを作りたい」との思いから、日本と同じ味付けを採用。ただ、食材の調達で苦労したと粟飯原氏。主要食材である豚肉は台湾産を使用、貝柱は北海道産を輸入している。最も大変だったのが豚肉探しで、現地の複数の業者とやり取りした末に、やっと日本の味と近い豚肉にたどりついた。試作を何度も重ねた末に、日本と同じ味の再現に成功した。

台湾を海外初出店の場所に選んだ理由については、台湾にも日本と同じ「駅弁文化」があるからだと説明する。さらに、駅弁文化という共通点を持ち、中華圏の文化発信拠点でもある台湾での展開を、中華圏の他の国・地域への進出の足がかりにしたい考えを示した。ただ現時点では、台湾1号店の黒字化を第一目標とし、他国・地域への進出や台湾内での店舗拡大について具体的な計画はないという。

取材の中で「チャレンジ」という言葉を繰り返した粟飯原氏。温かい状態での提供に加え、店頭で焼焼売(やきシウマイ)をたこ焼き器で焼いて出す形式をテイクアウト専門店で採用するのも今回が初めてだという。台湾版シウマイ弁当は1個175台湾元(約630円)と、台湾の一般的な弁当が100元(約360円)前後で販売されているのを考慮するとやや高いが、日本と同じ味を再現するために「価格は高いけれど、チャレンジさせてもらいたい」と語った。

横浜の観光誘致の側面にも言及。台湾人観光客が首都圏を訪れる際、横浜は「通りかかるだけ」の場所になることも多いという。シウマイの存在を知ってもらうことで、横浜観光の動機付けにつなげたい考えを示した。

▽開店直後から行列

7日午後のオープン直後から、店舗前には行列ができた。シウマイ弁当を購入していた台湾人女性は、横浜を以前訪れた際に崎陽軒のシウマイを食べて気に入っていたと話し、開店の情報を数日前に知って「急いで来た」と笑った。

(名切千絵)