台湾半導体の父、張忠謀氏が引退 TSMCは2トップ体制に突入

【経済】 2018/06/05 19:22 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
TSMCの役員らに拍手を送られる張忠謀氏(前列中央)

TSMCの役員らに拍手を送られる張忠謀氏(前列中央)

(新竹 5日 中央社)半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は5日、株主総会を開き、同社の創業者で「台湾半導体の父」と呼ばれる張忠謀(モリス・チャン)董事長(会長)の退任が正式に決まった。張氏は、顧問や名誉役員などを一切引き受けない考えを示しており、完全に引退する。今後は2013年から共同最高経営責任者(Co-CEO)を務めていた劉徳音氏と魏哲家氏がそれぞれ董事長と総裁に就任し、2トップ体制がとられる見通し。

張氏は昨年10月に引退を表明しており、この日は株主総会の会場に到着すると、大きな拍手を受けた。あいさつでは、同社が31年間成長を続けられたのはいくつもの面で奇跡的だったといえると振り返り、新たな役員に対しては「非常に自信がある」と大きな期待をにじませた。

だが、TSMCを取り巻く課題は多い。研究機関、工業技術研究院の専門家は、産業構造の変化に触れ、「もう先端技術だけで注文を取り付けられる時代ではない」と指摘。また、TSMCにとって最大の貿易相手である米国と、最大の潜在市場である中国大陸が抱える貿易摩擦も同社が立ち向かうべき大きな課題の1つだと分析した。

TSMCは長年、後継者選びに悩まされてきた。張氏は2005年に一度は総執行長(CEO)を退いたものの、世界金融危機が発生した後の2009年に復帰。2013年、再び総執行長の座を降りてからは董事長に専念し、劉氏と魏氏にかじ取りを任せた。4年余りの過渡期を経ての正式な引退となり、張氏は引退前に2トップ体制を確立させたことが自身の最後の功績だと昨年10月の会見で語っている。

張氏は中国大陸出身、86歳。米マサチューセッツ工科大学で機械工学を学び、半導体大手のテキサス・インスツルメンツに25年間勤めた。1987年、55歳でTSMCを創業。設立当初は100人余りだった従業員は現在約5万人まで拡大し、ウエハーの受託製造では世界トップのシェアを誇る。

(張建中/編集:楊千慧)