百年前死亡の日本兵の魂、「家に帰りたい」/屏東県

【観光】 2012/11/17 20:52 文字サイズ: 字級縮小 字級放大
百年前死亡の日本兵の魂、「家に帰りたい」/屏東県

(屏東 17日 中央社)台湾南部の屏東県では今年8月、先祖の霊を祭る中元節の頃、ある廟の道士が約120年前の台湾抗日ゲリラ鎮圧で命を落とした日本兵が家族を探し出してほしいと夢に託してきたという。この話を聞いた同県・六堆観光協会理事長の葉正洋さんは、現在兵士の霊の家族探しへの協力を呼びかけている。台湾紙「聯合報」が17日付で報じた。

葉さんによると、「1895年当時、六堆(屏東および高雄南部)で地元住民によって結成された抗日連合軍は、乃木希典将軍率いる軍隊に抵抗、左堆(屏東県佳冬郷)義勇軍が歩月楼(写真)と東柵門で日本軍と激戦を交わしたが多勢に無勢、おまけに日本軍の進んだ装備には歯が立たず、義勇軍は250名余りが戦死し、日本軍も14名が戦死した。その後、両軍の犠牲者は佳冬・忠英祠の裏手に合葬され、今もそこに眠っている」という。

台湾は日清戦争後の下関条約(1895年)で日本の植民地となる際、各地で清国の残兵や一部台湾住民による激しい抵抗運動が繰り広げられ、日本は軍隊を出動してこれを鎮圧、日本側は死傷者1万2000名(うち4600名はマラリアなどでの病死)、台湾側の死者は義勇軍・住民合わせて1万4000人だったとされ、占領初期の戦闘で日清戦争での海戦よりずっと大きな犠牲者を出している。

一方、佳冬の道士、湯文堅さんはここ数年、姿はおぼろげながらも日本兵がしきりに夢に現れるという。その中でも今年3月にみた夢では兵士の姿がはっきりと見て取れ、「自分は19歳で歩月楼の役で戦死した者。代わりに日本の九州の家族を探してくれないか」と頼んできたという。

この話を聞いた葉さんは、自分でも関連の史料を調べながら、「聯合報」を通して日本の関係者の協力を得、ぜひとも家族を探し当て、台湾に来て祭ってもらうか日本へ霊を引き取る儀式を行いたいと考えている。

台湾の民間では今でも冥界信仰が強く、亡くなった人が生きている人の夢に現れて希望を託し、これに基づき警察が動いて事件捜査が進展するといった例が報道されることもある。